スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」の映画の話し
映画の話し
数日前に、偶然あの超有名な映画監督スタンリー・キューブリックについての2時間余のドキュメンタリーをyoutubeで見つけ、見入ってしまった。彼の名前を意識したのは、ネットが発達したお陰なのだが、15年ぐらい前になる。彼の作品「2001年宇宙の旅」を、22歳ごろ初めてテアトル東京(既閉館)で観た時、今までに無かった映画と感じ感動した。彼の映画に共通していることは、これまでの映画の常識破り、観客に疑問・疑問を感じさせるストーリー進行だ。この映画、どうしても謎解きがしたく、4回ぐらい劇場に通った。さらにTVビデオなどでも。
そこで暇に飽かせて、このスタンリー・キューブリックの作品をネットを通して調べた。スタンリー・キューブリック(wiki)
オイラが過去観て、今も覚えている作品は、『博士の異常な愛情』・『2001年宇宙の旅』・『時計じかけのオレンジ』・『バリー・リンドン』・『シャイニング』などがある。全て異色な作品ばかりだ。この中で、今日取り上げたいのは、『博士の異常な愛情』。・・・・・・・・・・・・・
まず、前述のオイラが反応したドキュメンタリー、youtubeから埋め込みます。
スタンリー・キューブリック:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>「ライフ・イン・ピクチャー」
これ2時間20分あるので、暇な時ゆっくり観て下さい。
現在、米ソ冷戦が終わり、常に世界は第2次世界大戦後の核戦争の恐怖から解き放された感のある時代を楽しんでいますが、ソ連の相続国ロシアは、その核戦略を受け継ぎ、配下だった旧衛星国への覇権をちらつかせ、民主国家とは飾り言葉で、プーチン大統領の長期政権で、独裁国家の体を成しています。中共は、2010年にGDPで世界第2位だった日本を抜き、今や日本の数倍のGDPの国となり、大陸のシルクロード、海洋のシルクロードという謳い文句で、各国に覇権を強いてきている。日本含めて、米国・欧州は、中共は豊かになれば、共産主義独裁国家から変容して、民主国家になるだろうと経済でのグローバル化で援助してきたが、今や習近平が皇帝のようになり、共産党1党独裁は揺るぎないものになっている。もはやモンスターを先進国は作り上げてしまったようなものだ。
2000年にオイラ、ある日本の会社の顧問で上海に3ヶ月いたが、当時は高架高速道路から見ると、建築途中で放棄された高層建築物が幾つも目立っていた。通訳者の白さんに聞くと、あれは建築前に売買のカネを集めて、建築途中でプロジェクトの執行部がそれを持って逃走したんですと言っていた。虹橋空港からすぐの会社の隣は、ポラロイドカメラの工場棟で、米国からの投資だった。そんなこんなで、日本から、米国から、欧州からの投資が今の中共を作ってきたわけだが。
中共は、東京オリンピック(1964年)の頃に、核実験を成功させ、米国・ロシア程はないにしても、相当数の核兵器を備え、いざという時に備え、日本の各所、米国の各所を狙った核ミサイルを配備していると聞く。つまりこの映画が作られた核兵器恐怖の時代より、さらに危険な状態に世界は置かれている。
この映画、キューブリックは、ピーター・ジョージの小説「破滅への2時間」という小説を原作としているが、小説の内容と違って、これをブラック・コメディータッチで描いている。実際の題名も変わっている。Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb。これを訳すと『ストレンジラブ博士 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』になる。ストレンジラブというのは名前なのだ。そこで邦題では、「博士の異常な愛情」としたそうだ。この辺から変わっている。
特筆するのは、名俳優ピーター・セラーズが一人三役をやっていること。本当は四役をする予定だったのを、彼が四役は無理と断ったそうだ。また、各国の英語のセリフが、ドイツ訛り、ロシア訛り、テキサス訛りと様々な訛り言葉でやり取りされているそうだ。この辺は中学生英語のオイラには解らない。紛争のきっかけは、当時ソ連が陰謀で米国内の水道水にフッ素を撒き、米国男性の精子を殺してしまっているとの妄想が原因だとか。この辺はめちゃくちゃな話しになっていく。1963年~1964年に公開された英国・米国の合作映画だそうだ。あらすじなどは長くなってしまうので、省略するので、下のリンクで読んで下さい。
オイラが特に反応したのは、この映画のエンディングの音楽。この選曲はピーター・セラーズがキューブリックに提案して採用されたそうだ。エンディングとしては、結局米国側はソ連のミサイル基地に核爆弾を落とし、ソ連側は、もしそのようなことをされたら、ソ連の各基地から自動的に核ミサイルを発射させ、世界を滅亡させる戦略が開始され、世界中に核爆弾が雨・あられと降り注ぎ、世界人類はやがて消滅して行くという場面で、まったくふさわしくない歌詞の曲が流れること。これ、第二次世界大戦中に流行した唄で”別れ”の曲だそうだ。核爆弾が次々炸裂する中で、この曲が流れていく。このアンバランスが逆に胸を打つ。なにか大昔聞いたことがあるような旋律なのだ。歌詞が単純なだけ、なおさら耳に残る。ここ数日この曲がなぜか頭に浮かんできて仕方がない。何かこの先、核戦争が起こりそうな予感もしてくる。オイラの妄想だろうが。以下その唄と曲です。
博士の異常な愛情
Dame Vera Lynn - We'll Meet Again (Singalong with Lyrics)
British WW2 Song: We'll Meet Again
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コメント
これ、恋人同士、親友同士、親戚同士、家族同士など全ての人の別れに通じる唄ですね。いろいろ想像すると、胸が痛くなりそうです。長年親しかった人と無言でも、この様な別れ方をしてきたような気がします。当時この歌を唄いながら、戦場で、貧困で、不運で、・・・・、本当に永遠に別れてしまった莫大な数の人々がいることを想像してしまいます。
投稿: 老人 | 2021年4月12日 (月) 07時55分