その国の公用語は一つにすることが、国をまとめるのには重要な要素であることを、今回のカタルーニャ独立騒動で再認識した。
日本は中央集権国家で、その肝の一つは公用語は日本標準語(東京圏語)で統一されている。言葉というのは、文化であり、一つの集団を纏め上げる大きなな力がある。歴史的に見れば、江戸時代まで各豪族が集まって各藩を作り、それを幕府は纏め上げた、幕藩体制の施政だった。各藩の力が強くさらに大きくまとまって、幕府に対峙していたら、もしかしたら、北海道+本州+四国州+九州+沖縄州の五つに分かれ、連邦国家となっていた妄想も可能だっただろう。
さらに言語も現在まで残っている方言がもっと進化していて、それぞれ五つの公用語を持ち、勿論日本標準語があるにしても、様々な言語が飛び交っていたかも知れない。最近テレビ番組で知ったのだが、青森県には中央部に奥羽山脈があり、それを境に、二つの藩に分かれていて、それに依って西が津軽地方、東が南部地方に分けられている。方言も津軽弁と南部弁とがあり、かなり違うらしい。津軽弁で喋られると南部地方の人は全然分からないとか。当然その逆もある。
沖縄弁も全然オイラには理解出来なかった。さらに沖縄本島弁と宮古島弁、八重山列島弁もかなり違う。教育、テレビやラジオは日本標準語なので、対外的にはこれを使うが、地元ではこれら方言を使うことがお互い郷土愛になるので、いわば両刀使いのバイリンガルということになる。この辺の感覚は、関東圏が郷土のオイラには感覚的にわからない。・・・・・・・・・
最近日本も道州制にせよとの声が大きくなってきているが、オイラは行きすぎた道州制には反対な考え方だ。我らご先祖様達は、各藩の考え方もあるが、一つに纏まった国にすべきと、明治維新で国家造りをして今日に至っている。地方行政は都道府県制で47都道府県で行われている。それが中央集権国家の日本での形態だ。
多少似ているのがフランスで、やはり中央集権国家で運営されている。韓国、中国、北朝鮮、ベトナム、タイ、ポーランドなどなどがこれに続く。しかし米国、ドイツ、英国、カナダ、豪州、スペインなどなどは連邦国家として運営されている。
今、独立運動で話題になっているスペインなのだが、バルセロナのあるカタルーニャ州が、いままでのマグマが噴出したように独立国家としてスペインから分離するとの運動だ。
2011年4月にスペインを観光しました。バルセロナ⇒マドリード⇒セビリア⇒グラダナ⇒トリモリーノス⇒ミハス⇒マラガ⇒マドリード などを2週間掛けて回ってきました。
2011年の4月のスペイン。なんと「セマナ・サンタ」の真っ最中に滞在してしまった。2011年4月29日 (金)
2011年の4月のスペイン。中休みとして、このスペインについてのオイラの感想。2011年5月10日 (火)
欧州でも一番の地方分権が進んでいるそうだ。つまりかなりが、中央政権の関与なく行政を進められる。もちろん中央政権からの交付金も受領しているが。また国家規模としての事案については従わなくてはならないが。もちろん米国のような連邦国家と言うほどの分権ではない。こうした国はドイツなどとも似ている。 しかし、これには歴史的背景があるわけで、簡単に人工的になった制度ではない。
スペインも過去数千年以上から、 国内においても、国王間で、征服したり、征服されたり。近隣国からも同じように征服されたり、征服したり。特にナポレオンのフランスには占領された時もある。また宗教戦争も激しく、イスラム教徒に攻められ、国土がイスラム圏になったこともある。またユダヤ教も合間には関連をしてきた。やがてキリスト教徒らのレコンキスタ(再征服運動)によって、イスラム教徒を国外に追い出し、国土を奪還した。
その後大航海時代を迎え、中南米の未開の地に進出し、インカ帝国を滅ぼし、各地を植民地として現在でも中南米の国々はその時の末裔が政治の中枢をになっている。その後、このスペイン帝国は、調子に乗りすぎたのか、イギリス、フランス、ポルトガル、そして中南米の植民地では米国とも戦火を交え、そのどれにも勝利できず、やがて衰退の道を辿っていく。
やがて国内で内戦の火ぶたが切られ、ナチス・ドイツやイタリア王国までこの内戦に介入して、ドロドロになっていく。そして結果、フランコ政権が勝利し、それが、1939年から1975年まで36年間独裁政権を続けた。1975年といえばオイラから見ると、ついこの間という思いになる。
独裁者フランコが死んだ1975年から、王政復古がなされ、現在の体制が続いている。また1982年にはNATOに加入し、その年にはスペイン社会労働党が43年ぶりに左翼政権として復活している。対する野党は国民党で二大政党制を構成している。 まったく簡単にスペインのこれまでを記したが、歴史からこの余韻として、実は多くの違う民族で構成されているのがこの国の特徴ともいえる。
各言語も公用語として認められ流通している。この違う言葉が公用語とされていることが、その源流の民族意識を高めることの原因の一つであろう。カナダでもフランス語圏のケベック州が独立運動をしてきて、1995年にはその賛否を問う住民投票があった。カナダでは英語とフランス語が公用語。商品説明書には英語とスランス語が常に並んでいる。当時カナダと取引をしていたので、もし実現すればカナダドルが暴落すると、取引上ではウッヒヒと期待をした思い出がある。しかし独立賛成49%、反対51%で否決されてこんにちに至っている。英国のスコットランド独立の住民投票もあったが否決された。これらの国には、憲法上独立禁止の条文はなかった。
しかし、スペイン国の今の憲法には、独立した新たな国家を作ることは禁止の条文があり、当然これに違反した首謀者は、国家反逆罪で逮捕されてしまう。以前からこのバルセロナが州都のカタルーニャ州、バスク州など独立の機運があったが、この憲法改正により抑えられてきた。
今回は、カタルーニャ州知事が首謀しての、カタルーニャ州独立の運動は、スペイン中央政府の反対を押し切って今年10月1日に行われた。結果は投票率は
投票率が約43%で、投票者の約92%が独立賛成という結果だった。投票しなかった人は、反対が多かったとの論評だ。しかし中央政府はそもそも憲法違反な行為なのだから認めない。プチデモン率いる州議会で独立宣言をしたら、首謀者は逮捕する動きに出た。10月27日には州議会で独立宣言を可決した。
これには、中央政府のラホイ首相が怒り心頭で、さらにEU各国も認めないと反対を表明した。バルセロナは今回の件で、賛成派、反対派のデモが入り乱れ混乱状態に陥った。
ラホイ首相は今回の首謀者は逮捕すると表明、プチデモンらはベルギーのブリュッセルに逃げ、ここで亡命政権をと考えたようだ。しかしEUの本拠地ブリュッセルが庇うことはない。スペイン政府の司法当局はプチデモン州首相らを国際指名手配をした。
プチデモン前州首相がベルギー警察に出頭 指名手配された4人の州政府前幹部も同行2017.11.5 23:11
【パリ=三井美奈】スペイン東部カタルーニャ自治州のプチデモン前州首相は5日、滞在先のブリュッセルでベルギー連邦警察に出頭した。プチデモン氏は、スペイン司法当局によって国際指名手配されており、ベルギー当局に身柄拘束される前に、自ら出頭を決めたとみられる。
ベルギー検察の5日の記者会見によると、共に指名手配されたほかの4人の州政府前幹部も同氏に同行。身柄はベルギー判事に引き渡された。判事は同日、審問を開始し、6日にスペインへの身柄引き渡しの是非を決定する予定だという。
これで、今回の件は、独立賛成派は敗北した結果となりました。今月末までに新たに州議会選挙が行われ、中央政府に忠実な州議会となりそうです。憲法に独立はご法度という条文が込められていたからこそ、中央政府は反対の行動を得られたわけです。
まぁ、これらの国から見れば、日本は民族的に安定した国で、公用語は一つというのは、国をまとめるのには重要な要素でしょう。憲法改正の論議のあるなかで、独立はご法度という条文を加憲することも重要かもしれません。
12月に友人の家族が、ウチの柑橘園にみかん狩り&BBQにやってきます。娘の旦那エスリは、スペイン人でバルセロナ出身で日本企業に勤めている。日本語ペラペラとのこと。スペイン・カタルーニャ州・バルセロナについて尋ねたいことが一杯あります。今から楽しみにしています。
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