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2015年10月19日 (月)

横浜のマンションで、基礎杭の瑕疵が発覚した。これは組織の問題か個人の問題か?

三井不動産レジデンシャルが販売、三井住友建設が元請設計施工の横浜市にあるマンションの1棟が傾いていることが昨年11月に発覚、なんだかんだでここまで来て、どうやら基礎杭施工に瑕疵があることが確定的になり、連日新聞・テレビでは蜂の巣を突っつくような大騒ぎ状態になっている。

この傾いたマンションは、別棟とエクスパンションで繋がっていて、そこが渡り外廊下となっている。オイラ20代後半は、新宿区にあったアトリエ的な建築設計事務所で修業しながら、資格を取ったのだが。そのころそこの所長が、「高層のそれぞれの棟を繋ぐと、地震時揺れ方が違うので、長年の結果として段差が出来ることはよくあるよ、大変難しい」と聞かされたものだった。特に基礎の設計が違うと多いとか。まぁ1975年前後の話なのだが。

ここの一群は、4つのマンション棟(築10年)で構成され、問題のマンションと別のマンションが渡り廊下で繋がっていた。もし、繋がっていなく、別々に孤立していれば、傾きは発覚しなかったのかもしれないが。しかし大きな地震に連続見舞われると、まず基礎の地中梁に亀裂が発生し、それが上階の梁に伝染していくことも考えられる。そうなると瑕疵のあった部分は外観上も明確に沈降しているように見えることになるだろう。そうなると屋内はそれに伴った様々な瑕疵が発生していくだろう。・・・・・・

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開発業者の流れとしては

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2005年11月に発覚した”構造計算書偽造問題というのがあった。姉歯という構造計算専門建築士が、構造計算を偽造して施工業者が安く建築できるよう便宜を図った構造設計をしていた。しかし、検証されその計算では法的に要求される地震に対する耐力がまったくないことが判明して、関係開発業者は国会喚問まで招致させられた。

ヒューザー・イーホームズ・木村建設などの名前が思い出される。で、この波紋は大きく広がり、この姉歯建築士だけでなく、構造建築費を減らすため似たようなことは日本全国で行われていたことが露呈してしまった。以前は行政が建築確認申請を審査していたが、その後、構造改革によって民間委託ができるように建築基準法が改正され、そうした中で次々起こった出来事だった。また、この民間検査機関は営利目的に走って、いい加減な検査をしていたことも指摘された。

これらが大騒動になっていた2006年に今回のマンションの基礎杭工事は行われていたことになる。

Dscf3915_r 現在判明しているのが、杭のデーターのコピペや加筆による支持地盤に達していない杭が25本、セメントミルク充填の不良が32本。両方を満たしていない杭が13本。合計としてこれら瑕疵のある杭は70本にのぼる。

当初の三井住友建設からの説明は、杭打ち施工をした旭化成建材は丁度2006年に新しい杭を開発して、従来の3倍の強度をもつ”ダイナウィング(DYNAWING)”という工法で行われているので、地震には安全だと説明していたが、これは内部での取り違いで、実際には従来のアースドリルで支持基盤まで掘って、セメントミルクを規定高さまで充填し、既成コンクリート杭を落とし込む工法だったと。それが寸足らずで基盤に達していなかったり、セメントミルクが足りなかったりしていたことが、データー解析で発覚したのだ。住民説明会ではこの説明に怒り沸騰だった。

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基礎杭については修繕しようがない。決定的な瑕疵となる。なんでもこの旭化成建材の杭打ちチームは3人体制で2組で行ったと。さらに3人の内一人が管理者となるが、この特定の管理者が行った杭にだけ、この瑕疵が発生していると。残りの組がやった杭打ちには瑕疵はいまのところ発生していないらしい。

ヨタ話になるが、建設工事はプロジェクト工事で、全国あっちこっち見知らぬ土地が仕事場となる。オイラもたまに20億30億の物件の設計監理者となったことがあるが、その場合はもちろん元請は大手建設会社だ。皆妻子の元を離れて出張に次ぐ出張だ。その日の仕事が終わると、付近に会社が借りた旅館やアパートに帰る。仲間同士寂しいから夜の巷の小帝王となる。プロ女は金蔓になるからちやほやする。

上司からは工期を守れと絶対命令、夜の巷は早く仕事を終わって遊びに来てよと。どっちも守ろうとするから、何かが抜ける。なんでもこの担当者は15年のベテランだったらしいが、そのベテランのうぬぼれが、現場をいい加減にしかねないことも発生する。病気を理由に現場作業を休んだ日もあったなんて情報も出ている。彼が欠勤でも現場が進んだと。このミスは多分時間的工期の問題から起こったのではないだろう。杭の交換やセメントミルクの量がそんなに経費を押し上げるものではない。僅かだ。

アースドリルで掘って、硬い地盤に達すると電流計の波がそれを教えてくれるのだが、その作業の時点で、現場には既成コンクリート杭は運ばれている。もしそのヶ所が予想より深い場合には、杭を取り替えなくてはならない。一般は長めを用意して、地上の余りを切断するのだが、そのように段取りがされていなく、エーイいいやと、その杭の長さを優先してアースドリル作業を止めて杭を入れ込んだのかもしれない。昔は既成コンクリート杭の頭を何トンもの落下塊で叩いて入れ込んで、もう叩いても進まないところが支持基盤で止めた。原始的だが確実だったが、騒音が五月蠅い、公害だと、今はほとんどがこのアースドリルに準じる工法となっている。浅ければ深礎工法で行う。

これは個人の問題だったとしても、その個人の作為を防げなかった組織の問題だろうさらにチェックが不完全とならざるを得なかった日本の法的体制の問題もあるだろう。まぁ来月の頃には真相が分かるだろう。

建築工事に関しては、伝統的に日本は図面主義で、現場は性善説で行われることを前提としている。行政や検査機構の現場検査もいい加減に行われてきたことは確かだ。そもそも、この検査のプロがいない。北米では検査エンジニア(インスペクター)がいて、その者の責任において検査がされているようだ。なんたって現場は性悪説で行われるので、その工程の検査が合格にならないと、次の工程の工事に進めないのが普通だ。日本の場合にはそのような厳しさは法的にもない。

オイラ、1990年代にちょうどカナダドルが大変安くなり(1CD=75円前後)住宅の設計を北米の建材を使った仕様で行い、さらにカナダBC州のコンソリデーターと組んで、建材を輸入して、いわゆる輸入建築を7年ぐらい行った。もちろんオイラが施工も陣頭指揮をして。10棟ぐらい施工した。このとき、北米での施工方法や法的なものを、最高2ヶ月あちらに滞在して学んだのだが。

北米と日本の違いについて、北米・欧州では同社での設計と施工という方法は禁止されている。施主+設計監理者Vs施工業者(ゼネコン)という構図がごく当たり前。また施工における工程検査については上述のごとしだ。

この辺のことは過去のブログで紹介している。

日本の建築・北米の建築 2008年3月13日 (木)

[専門業者について。]

日本:建築設計監理と建築施工を一つの会社が行っても良い。両方の登録も一つの会社で出来る、「設計施工」が頻繁に行われている。

北米:建築設計監理業と建築施工業は明確に区分されていて、云わば日本のような「設計施工」という形態は存在しない。 欧米の考え方では、設計監理と建築施工は立場上相反するものだろう。それが一つの会社で行われた場合チェック機能は働かない、というもので、純粋の建築設計家やインスペクターが建主の専門分野の協力者として介在し、より的確な建物となるよう監視する。

[確認と許可]

日本:その建物について法令に定められた設計であること記した設計図書とその他必要書類を付けて建築確認申請を行う。すると副本として一緒に出したものに「・・・法令に適合することを確認しましたので通知します。」と確認通知書となって代理人経由で建築主のところに届いてから着工になる。認可でもなく許可でもなく、確認したことを通知されただけなのである。国(行政)はその建物に関して責任は一切ありませんといっていることと同じなのである。しかし例の姉歯事件でとんでもないことになっていることに気がついてその対策が昨年の改正建築基準法のお粗末なのだ。簡単にいえば日本は建築については大昔から規制緩和の国だった。それは低開発国と同じ法的位置づけだった。

北米:こちらは建築許可申請なのだ。その州が申請書を審査し、問題がないところで許可証を出す。一般住宅の建築でも各建築施工段階(工程)で7回ぐらいのインスペクターによる検査を受け、問題指摘があると、その箇所を修正しなければ、次の工程の工事に進めない。色シュプレイでマークを付けられビルダーは大急ぎで修正の準備をする。また重要な部分は具体的に施工方法も決められていてそれらの施工が的確に行われる。その代わり許可した責任も問われる訳で、行政側が損害賠償した例もある。関係者は皆緊張状態で己の仕事をする。

日本では、住宅ではせいぜい2回、上棟時と竣工時でかつ本当の熟練した者が官検査するわけでもなく、申請の監理者に任せられているので、施工業者の方に力があると問題は闇から闇になってしまい、あとで大騒動になるか、大地震のなかで紛れ込むかだ。

[ 施工   ]

日本:工事見積に関して、材料代と施工手間を「材工」という一つの単価で算出することが多い。このことで建築主側は見積のチェックが大変し辛い。 どの様な現場でも必ずパイプ足場で周囲を囲わなければならず、場所によってはその必要がない所では余計な経費となる。 ほとんど内壁は下地にPBボード(石膏ボード)を使い、簡単な下地処理(2工程)をしてビニルクロス貼り仕上げとする。ビニルクロスの種類が何百種類もあるのでなんとか間に合ってしまう。が下地処理がいい加減なので、やがてはそのシワ寄せが仕上げに出てくる。北米人から見ると相当安っぽく見えるらしい。

北米:工事見積に関しては、一般に材料代と施工手間は分けて算出する決まりになっているので、建築主側はチェックがし易い。 2~3階建では、日本のように周囲に足場架設をすることはほとんどなく、その担当業者が、必要最低限の足場を設けて完了させる。ハシゴなども大変有効につかう。大きい分譲地などは、クレーン車やリフト車など有効に使いこなす。 ほとんど内壁は、下地にPBボードを的確に張り、4~5工程による完璧な下地処理を行い、その後3~4工程の塗装を行う。塗装はエアレススプレーで器械吹付けで合理的に行う。

北米では住宅だけではなく、大きなビルの建設現場にも、コンソリデーターの仕事友人ロイドの案内で見学させてもらった。塗装職人はガラの悪いのが多いから気を付けろなどとアドバイスをもらったことが記憶にある。

まぁ、今回の問題は、組織ぐるみとは思えない。この工事管理者と助手2人の犯行のような気がする。知見や経験の多さも、責任感を全うする倫理感がなければ、無に帰する。多分三井不動産と三井住友建設は、このマンションを全壊して建て直すことになるだろう。オイラの師だった江戸英雄も草葉の陰で真っ赤になって怒っていることだろう。

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コメント

この件を税金がらみで考えてみた

買い取った場合、取得して10年以下なので39%の税金が一時所得
として掛かります。
 ローンがあるので当然物件には、抵当権が設定されておりその解除は
ローンを組んだ会社が所有しており解除の為にはローンの全額清算が
必要となります。(今は、保障会社が所有するのかな)
 ローン会社としては、瑕疵物件にになりますのでオーバーローン状態
なので追加の担保請求及び、全額清算を求まられます。
 応じない場合、ローンの残はそのままで物件を差し押さえ競売ににて
現金化・・・残は、ローンを組んだ人に残ります。(売れないので当然
ローンは満額残ります)

立て替えた場合(かなり絶望ですが)
 物件の現在の価値が仮に2000万だとして、立て替えて新しく物件を
受け取った場合引き渡された物件の価値が上がりますので(材料費なんか
あがっていますので)2500万円相当の物を受け取る場合。
差額の500万円に贈与税が掛かります。(この辺は、土地の等価交換
の話で多分マンションの場合”一回買い取って、新規の物件の引渡しを
受ける”)
 でもこの場合、短期取得の税金+新規物件のローン手数料+取得税
さらに物件の課税評価額が上がりますので固定資産税も上がります。

一番良い落とし所は”補修してもらって、200万円程度の現金”
補修が出来なければ絵に描いたもちですけどね。

投稿: 代理人 | 2015年10月20日 (火) 21時32分

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