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2015年2月14日 (土)

ギリシャのなりふり構わない居直りに、トロイカはどう対処するのかお手並み拝見だね。原理原則を無視した報いの終わりと始まりか?

ユーロ単一通貨圏(現在25カ国)内の様々な矛盾が噴出して来て、2002年1月1日発足から数えて13年目だが、その行方に関心が集まっている。もともと、冷戦構造の中で、ソ連共産圏の拡大を防ぐ意味からも、EU(欧州連合加盟国)が1993年に、それまであったEC(欧州諸共同体)を引継いだ形で発足して現在28カ国になっている。そしてその中から特定な基準をクリアした国が集まってこのユーロ単一通貨圏になったわけだが。ただEUに加盟していなくても、このユーロ通貨圏に入っている国もある。現在25カ国の内、6カ国はEUではない。

で、話題のギリシャなのだが。2009年10月に政権交代によってそれまでの国家財政の粉飾決算が暴露され、それが翌年2010年から深刻な財政危機に発展した。当時数回に渡って、このブログでも取り上げた。そもそもユーロ圏に入る資格(財政赤字3%以下)を偽って、登録したことが判明し、ECB(欧州中央銀行)を通しての財政援助を受ける条件として、いままでのルーズな国家制度、役人天国になってしまったり、国民の1/3しか所得税を納付していなかったり、大盤振る舞いの年金制度などなど、選挙戦で勝つ為のポピュリズムに迎合した政策の累積が、完全に裏目に出て、国家ディフォルト寸前まできていた。まぁ、日本の民主党政権が長く続けば、同じような国になったかもしれない。・・・・・・

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なんたってこんな国の、これまでの借金が32兆円もある。ユーロの恩恵を利用して、アテネオリンピックやら、ここ10年ユーロバブルで贅沢三昧をしてきた。

ユーロ圏の中で、ギリシャはGDPは24兆円規模でユーロ圏では1.8%ぐらいで、人口は1,100万人規模と小さい国だ。とはいえ、これはユーロ圏・EU圏の各国の金融機関に破壊的影響を及ぼすことが懸念され、トロイカといわれる、EU・IMF・ECBが三位一体となって、この危機を回避すべく、財政緊縮を条件に財政支援をしてきた。

ところが、それに沿った政策をここ4年ほど続けてきたが、いままでのユーロ圏の利権でぬるま湯状態だった国民生活は、冷水状態となってしまい、今年1月25日に総選挙が行われ、

急進左派党首が首相に就任 ユーロ圏で初の「反緊縮派政権」誕生2015.1.27

【アテネ=宮下日出男】財政再建中のギリシャで25日に実施された総選挙(定数300)は、即日開票の結果、最大野党の急進左派連合が与党の新民主主義党(ND)に圧勝した。急進左派は欧州連合(EU)が金融支援の条件としてきた財政緊縮策の見直しを公約。欧州債務危機以来、ユーロ圏で初の反緊縮派政権が誕生する。  

急進左派は第一党にボーナスで与えられる50議席を含め149議席を確保した。チプラス党首は26日、独立ギリシャ人党と連立政権の樹立で合意。続けてパプリアス大統領と会談し、首相就任の宣誓を行った。  

内務省の暫定集計(開票率99・46%)によると、急進左派の得票率36・35%に対してNDは27・81%。議席配分ではNDは76議席にとどまる。  このほか、極右政党の「黄金の夜明け」、親欧州派の新興中道政党「ポタミ」、共産党、独立ギリシャ人党、NDと連立を組んでいた全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が、それぞれ13~17議席を確保する見通しとなっている。  急進左派に協力する独立ギリシャ人党は反緊縮派の中道右派政党で、NDから分離した議員らが2012年に結成した。  

債務危機の発端となったギリシャはEUなどからの支援の下、財政再建を進めてきた。  経済状況に改善はみられるが、緊縮策に対する国民の不満は強く、急進左派連合の勝利につながった。チプラス氏は25日夜、「緊縮策は過去のものだ」と強調した。  急進左派はEUに対して緊縮策の見直しや債務の減免を求める方針だが、交渉の難航は必至。金融市場では交渉がもつれてギリシャへの支援が滞れば、同国が再び危機に陥りかねないと懸念している。

このチプラス党首って若干40歳だそうだが、思想としてはかなりの左寄りだそうで、若さ故なのか、かなりの強行派なようだ。そして与党連合を組んだのが、極右翼政党の”独立ギリシャ人”だそうだ。左右両極端が連合政権だと。どの道先は長くない。

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もうこれ以上のトロイカからの命令の財政緊縮政策はやめると。だけど、トロイカはギリシャに財政支援をせよと。選挙結果の支持率はわずか37%だが、ギリシャの特殊な制度のため、連合とはいえ与党となった。国民の過半が彼らのいう政策に賛同支持しているわけではない。まぁ、なにかの拍子で山本太郎が与党の党首になったのと近いかもしれない。まぁ、程度は雲泥の差があるにしてもだが。

このギリシャに一番多くの財政支援融資をしてきたのがドイツで、ドイツとしては掟破りのギリシャには、ドイツ国民もいい加減にしろと爆発寸前なのだ。このままギリシャの言うままに、トロイカが妥協したら、それじゃあ、スペインのオイラも、イタリアのオイラも、ポルトガルのオイラもと連鎖していくサイクルに入って行く。

さらにチプラス党首の配下としてのパルファキス財務相が凄い。「ギリシャをユーロから追い出したら、ユーロは崩壊する。やるならやって見ろ!」とヤクザの鉄砲玉のような風貌と物言いだ。彼、大臣らしからぬ服装でラフというかチンピラというか。

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これは、2月8日に英国BBCのインタビューに答えた嘗ての米国FRB議長だったグリーンスパンの発言にあてつけたのだろうか。

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ユーロになって、一番儲けたのはドイツであったことは、周知の事実だが、このギリシャに融資している一番の貸主はドイツで、ギリシャがデフォルトをすれば、ドイツの金融機関も安泰ではなくなる。さらにそうなったらそれを救うためにドイツは国民の血税を注ぎ込むことになる。これからの救済融資も主なる国はドイツということになり、メルケル首相を恫喝し出して来た。いままでここまであからさまにやったのは初めてだろう。まるで窮鼠猫を噛むってやつだ。

さらに、ギリシャは追い討ちを掛けるように、再度究極の恫喝を発した。戦後賠償額22兆円だと!

ギリシャの唐突な戦後賠償請求を、ドイツが拒否!=ザワつく中韓ネット「日本政府が同じことを…」「最も得したのは日本」

ドイツはギリシャに戦争賠償金を払うべきなのか2015 年 2 月 10 日

ギリシャのチプラス新政権が10日、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるギリシャ占領で被った損害の賠償を請求する方針をドイツに伝達し、内外に波紋を広げている。最大のギリシャ支援国であるドイツは「問題は解決済み」と拒否しており、ギリシャの財政緊縮策の是非を巡る両国の対立に歴史問題が加わった格好だ。「欧州統合の精神に反する」とギリシャ新政権の対応を批判する声も出ている。  

ナチスは第二次大戦中の1941~44年、ギリシャ本土を占領した。当時、ギリシャに強要されたナチス向け戦時融資の返済分や占領による損害の賠償を含め、チプラス政権はドイツに対して1620億ユーロ(約22兆円)を請求する権利があると主張している。コジアス外相が10日、ベルリンを訪れ、ドイツ政府に方針を伝えた。・・・・・

ちょうど西ドイツのワインゼッカー元大統領が今年1月31日に逝去したのだが、韓国政府と日本の野党がよく例にする彼が大統領になった翌年1985年に行った演説の中に、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります」というのがあり、これの言質をとって、日本は韓国にさらに賠償しろという恫喝をしてきた。

はっきり言えば、当時西ドイツは戦争責任をナチスに全て押し付け、被害者ユダヤ人への賠償(個人補償)のみで、日本のように被害国への国家賠償は、当時ドイツが東西に分かれていた冷戦中だったために行われなかった。そしてソ連崩壊後1990年やっと統一され今のドイツ連邦共和国となったのだが、もうこのときは、国連諸国もドイツに戦後国家賠償を求める空気はなかった。そもそも第一次大戦後、ドイツに対してあまりにも莫大な賠償を課したことから、ナチス政権が生まれたという事実もあったからだ。

Common Sense: 戦後補償の日独比較~ワイツゼッカーの苦衷~

ギリシャは2013年にもドイツに対して、賠償をしろと表明していた。今回政権が変わり、以前よりさらに強く、32兆円の借金の棒引きとして22兆円寄こせと。

さて、今月の18日に、ギリシャに対する金融支援プログラムの実施期日が迫り、3月には借金の一部の償還日が迫っている。償還出来なければ、一般にはデフォルトとなってしまうのだが。

問題点は、ユーロ離脱についてのなんの取り決めがなかったことから、これからどうするのか、せめぎ合いでしか解決の道がないことだ。そもそもギリシャは、どちらかというと中東人に近い。カソリックでもなくプロテスタントでもなく、ビサンチン系の東方教会系のギリシャ正教で、ロシア正教と同じ仲間なのだ。1974年ごろ、カミさんとアテネとミコノス島に行ったが、ギリシャ人って、中東でよく見かける人々といった雰囲気を感じた。またアテネの中は当時としても大変貧しかったと記憶している。もちろん通貨はドラクマだった。

ギリシャは、あのオスマン帝国に数百年も併合されていたのだから、その間に北アフリカまで含めて、様々な中東民族との交配が進み、あの嘗ての偉大なギリシャ文明を作った先人とは、全然違う民族の国家なのだ。バルカン半島の南端、なにか朝鮮半島の南端民族と似通っている印象だね。

まさに、ユーロ圏とこのギリシャは今雪隠詰めになっている。グリーンスパンの言う通り、ギリシャがユーロから離脱するのがギリシャのためにも良いと思うのだが、仮に通貨がドラクマに戻ったとしたら、ユーロとの交換レートは、大幅に下落して、今ユーロ通貨で組んでいる借金ローンは、元利合わせて数倍の金額になってしまい、住宅ローンなんてギリシャ国民は返済できなくなってしまう事態が発生する。つまり一旦いまよりさらに超貧困に陥ることを突破しなければ、再生は出来ないことになる。

そもそも、国家とは、民族とは、人間とは、という本来の原理原則を無視して、ファンタジーの中で、創立されたこのユーロ単一通貨制度。ユーロバブル景気に沸いたここ10年はこんな大きな問題が控えていることを、声を大きく警告を発した知恵者はいなかったようだ。原理原則を無視した政策制度はやがて崩壊する。日本の寺島実郎や姜尚中などは、これをアジア共同体でやるべきだと強弁していたね。そうルーピー鳩山のころだ。

英国はEUさえ離脱するべきという主張の声が大きくなって来ている。歴史的に欧州人って偉大な顔付きに見え、さも尊大な運営をしそうな印象なのだが、まさか単なるファンタジーを追求していたここ近年、なんてことにはならないと思うが。どうなるかねー。

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コメント

つまりワイツゼッカーが言わんとしているのは、

 「ヒトラーとナチス(私の自動車を運転して事故を起こした他人)に罪があり、ドイツ人(車の所有者である私)には罪はない。でも賠償責任は負う」

 ということであり、「ヒトラーとナチス」と「ドイツ人」、また「罪」と「責任」を明確に区別しているのが分かります。

 結果、朝日は「ドイツを見習え」論から後退し、日本の反日運動家もあまりそれを言わなくなりました。

中韓は今も日本攻撃の材料として「日本はドイツを見習え」と言っていますが、今後は言えなくなるかもしれません。

 なぜなら、この2月10日、ギリシャの新政権がナチス・ドイツによるギリシャ占領で被った損害の賠償を請求する方針をドイツに伝達したものの、ドイツは「問題は解決済み」として拒否したからです。

投稿: ranran | 2015年2月15日 (日) 11時15分

交渉決裂を受けて資金がギリシャ国外に流出し、ギリシャの金融機関が破綻する危険性が膨らんでいる。

今後の主な日程を確認しておこう。

2月18日夜 ギリシャ回答期限

2月20日 現行の支援延長の場合、ユーロ圏財務相会合

2月28日 現行支援の期限

今年第1四半期 ギリシャは推定43億ユーロが必要

3月19、20日 EU首脳会議

7月20日 欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債35億ユーロが満期に

8月20日 ECBが保有するギリシャ国債32億ユーロが満期に

投稿: | 2015年2月18日 (水) 10時21分

シナリオはいくつかある。

(1)チプラス首相とバルファキス財務相がヒザを屈して、ドイツが言うように現行支援の延長をのむ。しかし、この場合、失業者は減らず、ギリシャ国民の苦しみは続く。

(2)ドイツを中心とした欧州「北部」連合が、「いくらかの融通」を拡大して、ギリシャに対する締め付けを緩める。ギリシャもユーロ圏もウィン・ウィンの関係になる。

(3)チプラス政権が崩壊に追い込まれ、前と同じようにテクノクラート内閣が誕生してハードランディングを避ける。その後、総選挙となる。

(4)互いに譲らず、ギリシャの金融機関が破綻。ギリシャは資金不足に陥り、ユーロ圏離脱を余儀なくされる。

投稿: | 2015年2月18日 (水) 10時23分

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