大変な被害を出した広島市安佐南・北区の土砂災害。なぜ警戒区域でなかったか?山やガケ地の傍に家のある人は、ネットで自分の自治体のハザードマップを調べた方が良い。
今年の夏は特例のような気がする。毎日天気予報は見るのだが、関東・東海を囲んで、それ以外、西日本・東北・北海道が大雨という場面が多い。関東と東海の堺にあるこちらでは、オイラの備忘録を見ると、7月20日から雨無しが続いて、8月9・10日が雨、次が晴れで12日が雨。これ以外は全て雨が降らなかった。その為何度か、みかんの苗木(約50本)に水遣りをしなければならなかった。今日も猛暑日で、そろそろ今季最後の水遣りをしなければと考えている。毎年四国地方の夏は、雨不足で、給水制限がよくあるが、今年は雨が降り過ぎで、貯水池は満タンらしい。
20日の深夜から早朝に掛けて、広島市安佐南・北地域に最高1時間当たり101mmという大雨が襲った。その3時間で200mm、24時間の雨量は243mmという観測史上最大の雨量だったと。もちろんそれ以前の少なくても1ヵ月も大雨続きで山の表土は水で満水状態だったのだろう。20日の午前の発表では、それにより大規模な土砂災害が起こり(午前4時頃)、死者7名、行方不明13名だったが、現在判明している死者は40名、行方不明者がどんどん増えて現在47名だそうだ。またこの地域だけで土砂災害は50ヶ所発生とのこと。20日・21日・22日のテレビ報道はこれ一色といっていいほどだ。特にテレビ朝日とTBSは、朝日新聞の醜聞を扱わなくてよくなったから、大張り切りのように見えて仕方が無い。それにしても・・・・・
最初の報道で、安佐南ではいっぺんに住宅が10軒以上跡形もなく流されたとか、隣の北地域でも土砂で住宅が潰されたとか。しかし3日になっても、行方不明者が47人とは、集計に間違えが無ければ、とんでもない災害だ。それも今回の地域は土砂災害警戒地域でもなく、危険箇所指定でもない場所だったと。周囲には数多く危険個所指定や、警戒地域、特別警戒地域が設定されているのに。そこで早速グーグルアースを起動させて探して見た。
(画像上クリックで拡大)
この地域は、いわゆるボタ山で山脈の山ではない。土質はマサ土(真砂土)で、関西地方には多い。因みに関東はローム層土。マサ土は花崗岩が超年月の間に風化した、シルト状化したものだ。それが山の表土となっている。関東で見られる土砂と同じように、こちらのガケ地を見ると大間違いになる。ロームと違って粘着力が大変弱く、さらにもっと土砂崩れを起しやすいのだ。
またここは地形的には扇状地となっていて、山の沢から常に土砂が流れ出し、それらが堆積して出来た土地だ。15年程前に川が近くにあるウチの土地(約1000㎡)を開墾したことがある。重機(パワーショベル)を借りて自ら開墾した。雑木を切り倒して掘り始めたら、出てくるは、出てくるは、大きな岩石が。中には巨石まで夥しい数の石だ。数千年数万年という夥しい年月の間に、土砂崩れが何回も起こり、これら岩石が流れて堆積したものだ。現在の様に川の護岸堤防や砂防ダムも無かったので、数十年、数百年に1回の大雨で常に土砂崩れを繰り返してきたのだろう。
この時は土地はもちろん傾斜地なので、4分割の平地にすべく鉄筋コンクリートの擁壁を予定していたが、巨石がゴロゴロ出てきたので、巨石積み擁壁に変更した。だから材料代は掛からなかった。ウチの地域もいわゆる扇状地に近い地形をしている。本来は、水はけが良いので、甲府の方ではブドウ畑。ウチの方はミカン畑が多い。
この安佐南地域の災害現場を調べて見ると(一番取材が多い)
これは災害以前の写真なのだが。鉄筋コンクリート造(RC造)の県営住宅が特徴的だ。テレビで見ると3階建てのようだ。そしてこの2群の県営住宅の間にあった木造住宅がほとんど土砂により流されてしまったようだ。(合掌)
ちょうど現場の直の山頂が標高約400m、住宅群の始まる地点が標高60mで、その差は高さ440mということになる。そこから下に260mほど下ると標高20mで、その差は 高さ 40mで、歩くのに少しきついくらいの勾配だ。
よく見ると、山側の左側に巾の狭い水路のようなものがある。普段は沢の水をこの水路で受けていたのだろう。よく見られる普段はチョロチョロ水が流れている水路だ。ところが今回の大雨では、えぐられるように山頂近くから沢伝いに土砂が大量に流れたようだ。これでは防ぎようがない。あっと言う間に流されてしまったのだろう。
大昔は、このような土地に建物を建てる場合には、地中の巨石を掘り出して、それを自分の土地の土砂が来ると予想される境に積み上げて、少しでも土砂が敷地に来ないように工夫した建物が多かった。まぁ、その分、敷地も広かったが。今でも大谷石やブロックで塀を造るのは、この目的の為でもある。しかし今回の土砂崩れは大き過ぎたようだ。
この辺全体を上から眺めると、住宅がひしめいていて、どんどん山間に侵攻していかざるを得なかったようだ。まして県の方も、ここには土砂災害警戒地域とするほどの危険性は想定していなかったようだ。しかし仮に指定しても、これは2006年ぐらいから始まっているので、それ以前の建物については規制が出来ない。ただ注意勧告と移転勧告ぐらいしか出来ないのが現状で、ほとんど解決にはならないだろう。
一般には、切り土ガケや無許可擁壁の場合、高低さ2m以上から建築基準法では規制され、そこが崩れても建物に被害を受けないように、30°の角度(安定地盤)にぶつかる部分まで鉄筋コンクリート造で基礎を立ち上げなくていけない。もちろん窓なども設けてはならない。しかし、裏地が、延々と続く山状の場合には、全体を鉄筋コンクリート造でそれも、土砂が迫ってきてもそれを受け止める耐力があるように構造計算までもしなくてはならない。まぁ、そのような場所が、警戒地域となるわけだが。ただ、その通り建築されて来なかった不法建築が殆どといった過去からがある。これ費用がより掛かるのと、古くは完了検査が無かったので申請だけというパターンが多かった。オイラの扱った物件はそのようなことは無かったが。
また、災害警戒区域に指定されると、当然土地の評価は下がる。土砂災害に危険な土地となるわけだからね。新築の場合には建築許可(確認申請)がおりない場合もある。また増築の場合も適用される。そこのところが、その市の有力者(特に開発業者)と県・市行政との駆け引きで、なんとかこの地域指定を免れるよう働きかける。そのやり取りが実態に繁栄することになる。だから開発が済んだ後に、指定されるなんてことも多くて、揉める原因となる。
さっきウチの地域のハザードマップを調べてみた。これに指定される場合には、役所から詳細な資料が届けられることになっている。まぁ、心配な方は同じようにネットで調べてください。これはウチの土地とはまったく関係ない市内の数多くある資料の中から随意に選んだものですが、
緑線が、現在ある建物で、黄色線で囲まれた中が、土砂災害警戒区域、ピンク線で囲まれた中が、土砂災害特別警戒区域、その中で赤線の中は、土石が1m堆積しているところ、紫線の中は、それが3mを超えるという最大に危ないところを示しています。この地図の場合、既存住宅のかなりがその中に含まれているようです(災害に危険な建物)。
山が迫っている地域は、測量・調査で年々この調査図=ハザード(危険個所)マップが出来上がって増えてきています。しかしこれらを作るのには膨大な労力と予算が掛かりますね。熱海市だけで、現在215カ所出来上がっています。
しかし、ハザードって危険なヶ所の英語だが、なんで英語にするのか分からない。一般人にハザードって何といって答えられる人が何人いるのだろうか。なんか旨いものを食わせる場所の地図?なんて答える人もいるかもしれない。行政が英語名にするときは何か理由がある。不動産絡みなので、なんとなく響きをぼやかしたいのかもしれない。「ハザードマップ」なんて名称にしないで、「災害危険地図」となまなましい名称になぜしない。お役人さんよ!
今回のように大雨で、それも朝の4時ごろでは、まず広報音声は聞こえないし、ほとんど睡眠中で無理だし、察知したとしても避難も無理だったでしょう。今回の犠牲はやむを得ないと考えられる。この恐れのある場所の場合、既存の住宅としては、建物の一部を鉄筋コンクリート造2階建てくらいを増築して、いざの場合の逃げ場所を造るしかないだろう。移転なしなら、いつ来るか分からないこの手の災害は、自己防衛するしか考えられないと思うのだが。
一粒で二度おいしいオイラのブログ:今日の画像
木造建物と違い、この県営住宅は鉄筋コンクリート造3階建てだった。
確かに1階・2階の窓から土砂が流れ込んだようだが
建物はしっかり土砂を受け止めて、躯体が流されることはなかった。
他の付近の同じような県営住宅は、土砂の流れの方向の関係で、
さらに被害はなかったようだ。
もしこれが木造建物や鉄骨造だったら
同じように跡形もなく流されてしまっただろう。
この場合、山側に窓や開口部がなかったら、
人命にはほとんど影響はなかったと推察する。
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コメント
嘗ての民主党政権の蓮舫の忘れられない発言
『いつ来るかわからない天災に予算はムダ』
『津波なんて実際に来るまでに時間差があるから、その時間で出来る対応をすれば済むこと』
『明日来るのか100年後に来るのか200年後に来るのか来ないのかわからない(災害)対策費はお金の浪費』
「コンクリートから人へ」で広島の防災工事の予算も減額された。そのカネを反日勢力の生活費や、媚韓国、媚中国に回した。
投稿: | 2014年8月23日 (土) 09時52分