安倍政権はTPPの交渉参加に動き出した。オイラとして、このTPPの問題に触れてみる。
テレビ報道では、北海道、北陸を中心に大寒波が襲い、青森市の酸ケ湯(すけゆ)では、26日正午には積雪が5.6mを突破の記録したと大騒ぎ。まぁ、この現場からの報道を各テレビ局は延々と行なっている。数年に1回はこのような寒波到来で、大積雪になるんじゃい。例の偏西風の蛇行、北極振動の為せるワザ。
ところで、気象庁や国立環境研究所の皆さん、各テレビの皆さん、マスゴミの皆さん、2007年前後大騒ぎをしていたあの人為的CO2世界温暖化の話はどうなったのかい?英国の研究所発なのだが、1997年以来グローバル規模では実は、平均温暖化はしていなかったとの発表が最近あったのだが。
日曜日には、ウチのミカン段畑にある、八朔(はっさく)を収穫しました。こちらは打って変わって快晴で暖かかった。これ大木になっていて、1日掛けて約120キロの成果。本来1月始めに収穫して、貯蔵庫で寝かすのが正解なのですが、ここまで遅れてしまった結果、鳥が突っつき、実が腐ってしまったのが約30%あるのでは、という感じでした。八朔の撤果をサボった結果、今季は小中成りの実が鈴なりで、来年はその影響で成果が少ないのではと予想しています。この八朔は不作・豊作と毎年繰り返しているようで。
さて、米国オバマ大統領と安倍総理との首脳会談が22日に行なわれ、例のTPPの交渉参加について、一歩前に進みだしたようだ。オイラ、一昨年頃からこのTPPについて関心はあるのだが、今もって分からないことだらけなのだが。・・・・・・
まず分からないのが、この名称。”環太平洋戦略的経済連携協定”が日本での翻訳名称だが。本家本元の英語正式名は、”Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement ”と言う。Trans-Pacific のPacificは一般にはPacific Ocean(太平洋)の略でよく使われるので異論はないが、Trans-とは何か?辞書で調べると、これは接頭語で後に続く語彙と連動する。で、訳としては
Ⅰ 「越えて」「横切って」の意
transmit.
Ⅱ 「貫いて」「通って」「完全に」の意
transfix.
Ⅲ 「他の側へ」「別の状態[所]へ」の意
translate.
Ⅳ 「超越して」
transcend.
Ⅴ 「…の向こう側の」の意
trans-Caucasian コーカサスの向こうの.
どうも、意味合いとしては、”環太平洋沿岸国 ”ではなく”太平洋沿岸国を超えて”という意味の方がしっくりしそうだ。これ政府筋の役人が翻訳した名称だろうが、”国際連合”の翻訳に見られるように、作為的翻訳名称付けをするのが得意だから油断が出来ない。これによって受取るイメージは変わってしまう。名称は体を表すからね
確かに、東南アジアの国々の一部は、太平洋沿岸にはない国も多い。参加国としてのマレーシア・シンガポール・ベトナムなどは、環太平洋というには少し無理がある。もちろんまだ未定のタイ・カンボジア・ラオス・インドネシアなども環太平洋とは云えない位置にある。
で、次のStrategic Economic Partnership Agreement =”戦略的経済連携協定”というのは異論がない。余談だが、この戦略的のStrategicの発音が難しい。これ一発で正確な発音が出来たら、相当な時事英語通だろう。テレビに出てくる専門家と云われるのに発音させてみるが良い。きっとだれも発音が出来ないと思うが。
そもそも、このTPPの発祥は、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した経済連携協定で、加盟国間で、域外に対する競争力を強化するために、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、経済的な国境をなくすことを主柱としている。
目的の一つは、「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」で、けっしてそこに大国の米国や、日本、カナダ、オーストラリアが割り込むことは設定にはなかったのは事実であろう。しかしそこに、国内産業の復興に利用出来ると踏んだ米国オバマ陣営が、これに目を付けたのだろう。
2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加し、10月にマレーシアが加わった。2010年11月に開かれた2010年日本APECで、TPPは、ASEAN+3(日中韓)、ASEAN+6(日中韓印豪NZ)とならび、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の構築に向けて発展させるべき枠組みと位置づけられた。ASEAN+3、ASEAN+6は政府間協議の段階にとどまっているのに対し、TPPは交渉が開始されている。
2011年アメリカAPECまでの妥結と結論を目標にしていたが、大枠合意にとどまり「2012年内の最終妥結を目指す」と先延ばしされている
あくまで原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の拡大 (Expansion) である。
その過程の中で、当初参加しないと決めていたカナダとメキシコが、交渉参加を決めた。
カナダ: 酪農などの市場開放が十分でないとの理由で2010年10月に一旦、参加を断られた。その後、2012年11月に拡大交渉に参加した。
メキシコ: 2012年11月に拡大交渉に参加した。
予定よりどんどん遅れているようだ。交渉が縺れているのかもしれない。これ、米国内では、一般人の間ではほとんど話題になっていないそうだ。しかし日本では天地がひっくり返るような問題として扱われている。
もともと当初の目的が、大国の貿易に対して、小国同士が団結して貿易圏を作ろうとしたのを、米国が「これイケル」と、もっと大きなものにしようとしたスキームであることは間違いない。さらに米国が完全にイニシアティブを取ってしまった現況になったわけだ。なにかにつけて米国にお伺いを立てなければならない代物になってしまったようだ。まるで、米国主導のEU・ユーロに対抗する経済圏の創立のようなものに見られるわけで。
そして、協定締結まで、完全に秘密主義で通されている。詳しい内容は交渉参加に入らなければ、そのインテリジェンスを入手できないとか。準大国である、カナダ・オーストラリアなど現在交渉参加の国々が現在どのように対応しているのか、国内での反響はどうなのか、などの詳細は一切取材して公表しない日本の大手メディア。ただ窓口は米国政府からのみという不思議がどうしても目立ってしまう。
日本の誇る国民皆保険が壊滅してしまうなどと、反対派は恐怖を煽っているが、実はカナダ・ニュージランド・オーストラリアは、米国と比較するとき、それぞれ自国の国民皆保険制度を誇り高く指摘する。日本が崩壊するなら、これら交渉参加の国々も崩壊するわけで、そのようなことにいくら米国の要求だからと云っても、従うわけはないと思う。まさに日本も含めてこれら国々は連携して阻止するだろう。シンガポールも、チョと違うがMSA制度(医療貯蓄口座)で準国民皆保険のようなものを独自で制度化している。
そもそも、当初の”聖域なき関税撤廃”というのは、当初発足時の4カ国の時の謳い文句であったのではと思う。だが米国主導となってしまった現状では、今回の日米首脳会議では、あらゆる品目の交渉で決定が為されるという方向に変わってきているようだ。
TPPへの交渉参加表明については、安倍総理に一任と自民党内で決まったようで、多分3月始めには交渉参加を表明して、交渉仲間に入ることになり、そこから漏れてきた詳細で国内は一喜一憂をすることになりそうだ。
農産物については、やはり米だろう。今のところ、現在の日本の米に匹敵するほどのものを大量に生産している国はない。カリフォルニア米が旨いという評判もあるが、日本人の味覚で言えば、現在の日本のブランド米には足元にも及ばない。また、その米の味なのだが、これ世界で一番美味しいと云われているが、これは日本人の食生活からのもので、北米・欧州から見れば、白米を食べる習慣がないので、ピラフやパエーリャなど米料理がメイン。
オイラの従兄の娘さんが、フランス人と結婚して、今年正月に里帰りでその旦那を連れてきて、正月料理でもてなしたのだが、餅の美味しさも、白米の美味しさも受け付けなかったと。チャーハンを作ったら美味しいといって食べたとか。日本の米は世界一美味しいというのは間違いで、日本人には世界一美味しいということだ。まして、チャーハンなどの米料理は、日本のブランド米ではネチャネチャしてしまい、パサパサした長粒米のほうが美味しい事もある。まぁ、お寿司に関しては、日本のブランド米が適しているが。これSushi Rice(寿司用米)として、外国で売られているが大した量ではない。
ただ、どこかの国で日本人用にブランド米を大量生産して国内市場に格安で入って来る可能性はある。とにかく、日本の農業は面積的には稲作がメインで、国も保護してきたから、それが完全に自由化となれば、日本では稲作農業が成り立たなくなり、他の農産物に変えるか、田を潰して雑種地・宅地化していかざるを得なくなるだろう。又は、欧州のように補助金を出して稲作を守るかだ。それをすると、今より莫大な財政が掛かることになる。
戦前から、温暖な地域はミカン畑をどんどん拡大して行った。そのころ柑橘類といえばメインはみかんだった。当時は、クリスマス用に北米にも輸出していた時代もあった。日照の良い山肌を切り開いて、みかんの段畑が次々開墾されて行った。その結果生産過剰となり、また、1986年から始まったウルグアイラウンドの結果、牛肉・オレンジの自由化により、様々な柑橘類が日本に入るようになり、みかんの消費は半分以下に減ってしまった。だから今やみかん栽培は、趣味栽培のようなものになってしまった。
そもそも、みかんの木が一人前の成木となるには、20年前後掛かる。段畑なので、収穫した、みかんを運ぶために、そのようなところはモノラックという搬送システムを設備して(これJAの推奨)高額投資をしたのだが、それに見合う見返り収入なぞほとんどなかった。まぁ、ほとんどが小規模栽培なので、半分はJAで引き取ってもらい、あとの半分は自家消化に務めるしかないのが現状だ。ウチの近所の畑もほとんどが同じ状態。
だから、父親が老後に栽培していて、その父親が死ぬと、定年退職した跡取り息子が引継ぐことになるので、従事者は常に60歳以上ということになる。そしてその息子がヤル気がないと、畑は雑木林となっていく。これが現状だ。では輸出は出来ないのか?昨年フランスやドイツに滞在したが、なんと小粒のみかんが店頭に並んでいる。
1㎏が6.9ユーロ。1ユーロ=125円として約860円。この時は10月だったが、10㎏では8,600円だよ。これなら日本から輸出しても値段は合う。これはどの国からの輸入なのか分からないが、これを見ると可能性はある。JAは海外輸出に関してサボっているのだろうか。または、北米は何らかの理由付けで、輸入を拒否しているのだろうか。まぁ、BSEにかこつけて、日本側も米国牛肉の輸入を制限してきたからね。但し、中国や韓国(済州島)とは価格勝負で負けてしまうかもしれない。北米でのみかんの小売販売価格を知っている人がいましたら教えてください。
オイラの妄想なのだが、今回の安倍首相の記者会見で、
安倍晋三首相 ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で演説
「・・・そこでようやく、日米の間にあるわたくしたちの繋がりについて一言申し述べることができます。 日米両国が地域と世界により一層の法の支配、より多くの民主主義、そして安全をもたらすことができるよう、さらには貧困を減らすため、日本は強くあり続けなくてはなりません。それが、第一の点です。・・・」
これ、WTOに加盟したが、それでも経済に、貿易に関して、法の支配を守らない中国や、未だに特許権や著作権など守らない韓国に対して、TPPによって包囲網を作る目的があるのではないかと良い方に考えてしまいそうだ。
まぁ、交渉参加して、数々の問題に対して国益を掛けたネゴシエーションを日本も始めることになる。まさにグローバル化に進むということは、こう言うことになるのだろう。今EUでは、肉加工食品に馬肉が入っていたことが大問題になっている。なぜかと言えば英国人やドイツ人は馬肉を食べる習慣がない。馬肉は禁忌なのだ。日本では安いコンビーフ缶詰には馬肉入りと堂々と表示されているが。
この生産ルートが複雑で、ルーマニア・ルクセンブルグ・キプロスなどが入り乱れてそのルートに入っている。全て国内の流通経路なら、簡単に追跡が出来るのだが、あまり複雑な経路なので、実態が掴み難い。とうとうあのIKEAが販売のミートボールにも馬肉が見つかって大騒ぎとなっている。馬かったらしいが。TPPによって、加盟国の経済・貿易の自由化、グローバル化というのは、このようなことは頻繁に起こりえることは覚悟すべきだろう。
そんなこんなで、オイラとしてもTPPに参加協定を結ぶことが日本の未来にとって良いことなのか、悪いことなのか、仕方がないことなのか、未だにわからないのです。
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コメント
私は農業関係者ではありませんが、反対の立場をとっております。
農業について言えば土地面積の違いから安い農産物が入ってくることになり、関税のない状況ではどんなに日本が対抗しても太刀打ちできないと思っております。また、日本の農業が無くなっていくことにより、日本国の食料自給率が40%から13%に下がることも危惧しております。外国に食料を握られることになり外国が不作になったり、有事があれば日本に食料が回ってこないからです。北朝鮮のような餓死者があふれる社会になります。
したがって農業は外国に握られることは絶対避けるべきだと思います。日本の農業の既得権益も改めなければいけないところはあっても日本が持つべきだと考えております。
TPPはそのほかの交渉項目は25分野あると言われており、外国人労働者受入問題だけをとって見ても一般企業にも外国人が入り雇用が脅かされる、外国人犯罪者が多発する、日本企業が乗っ取られアメリカ式となり、下手したら日本語も非関税障壁として使えず英語で話すよう強要される等、様々な可能性も予想されます。
国際社会は国相手のことであり自分だけは大丈夫という問題ではないように思います。農業関係者だけでなく、日本国内で働く一労働者として、私も一貫して反対を叫びつづけます。
安倍政権が交渉参加を表明するような流れとなっていますがまだまだ諦めません。
投稿: ネバーギブアップ | 2013年2月26日 (火) 17時26分
あるタイ人が、中国政府を批判していた。タイと中国はFTAを結び、貿易の自由化、関税撤廃の協定を結んだ。たしかに関税はなくなったが、タイから輸入した物産には、国内では高い消費税を掛けるという抜け道制度を作ったそうだ。まったく悪知恵には長けている中国政府だね。
投稿: アイヤー | 2013年2月27日 (水) 10時16分