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2012年12月 5日 (水)

35年前のケミカル・アンカーに依存した、笹子トンネルなどの設計と施行が、それへの過信から今回の事故を招いたと思う。

日曜日の午前に起こった、笹子トンネルの天井板崩落事故。やはりオイラが事故状況の詳細を知るにつけ、当初感じた結果だったようだ。トンネルのコンクリート天端にボルトを定着させるべく、ボルトの径より少し大きい穴を、振動ドリルで穴を開け、そこに云わば接着剤を充填して、ボルトを埋め込み、定着させるという方法だ。これケミカル・アンカー方式という。分かりやすく言うと、接着剤アンカーだ。

1975年完成で、1977年に一般車開通。このころまだ、ケミカル・アンカー方式というのは、一般的ではなかった。なんたって、それまでの常識は、まず生コンクリートに埋め込む一体方式アンカーと、後打ちアンカーと云われるホールイン・アンカーだ。これは、長いナット(メス)のようなものの先端にクサビのようなものがあり、穴にそれを入れ、打撃でクサビのようなものが物理的に広がり、固定される。まぁ、形式はイロイロあるっが。そこにボルト(オス)をネジ込み固定する。ただし、施行精度によっては、理想の強度が出ないこともあり、それほどの強度が必要ない時に利用される。

↓ホールイン・アンカーの一例

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で、外国からの考え方で、このケミカル・アンカーという方法が徐々に施行されるようになっていったのだろう。1975年当時といえば、オイラが建築設計の丁稚奉公をしていたころだ。このころからか、テレビCMで、鉄板と鉄板を接着剤で接着して、クレーンで釣り下げ、「こんなに強力な接着剤です」なんてのをやり始めたと記憶している。事務所の所長が、瞬時強力でも、永久に強力なんてことは、まずない。こんなのを設計に用いるなと言われた。

その後、10年後ぐらい経っての逸話なのだが。・・・・・・

オイラの設計した建物の、道路挟んで真向かいの敷地では、同じ時期に大手住宅メーカーの建築工事が進んでいた。そちらは基礎工事が済み、工場生産の住宅パーツが運ばれて、各部分を連結して、棟を揚げる準備も整っていた。こちらの大工とそれを見ながら話をしていたが、その大工云わく、「おかしいですねー。基礎から出ていたアンカーボルトが、一切なくなっている。」と。これ基礎のコンクリート打ちの時、あらかじめアンカーボルトを型枠の中で、所定の位置に立てておいて、生コンと一緒に打ち込むものだ。

それが、あったのが無くなっているということは、このプレハブ住宅の場合、㍉単位で的確にアンカーボルトが存在していなくてはならない工法なのが、アンカーボルトの位置寸法を間違って施行したのではないだろうか?まぁ、他業者の物件なのでそれ以上は関係ない。で、数日後見ると、あら不思議、アンカーボルトが、数々立っているではないか。その後、プレハブパーツが運び込まれ、住宅の棟が揚がった。

これ、当初の正攻法のアンカーボルト設定の位置を間違え、全部切断をして、必要な位置に穴を空け、ケミカル・アンカーで基礎ボルトを間に合わせたのだ。これとんでもない欠陥住宅なのだ。気になったので、専門技術書を調べたが、地震時莫大な応力が働くアンカー・ボルト設置に、ケミカル・アンカーを使用して良いなんていう解説は一切ない。ケミカル・アンカーというのは、30年・60年・90年などの越年劣化についてなんの実績もなく、地震時の応力に対する強度にも耐えられないというのが常識だろう。つまり簡単に言えば、地震時、かなり大きい地震で、それに即した応力がこのアンカーボルトに働いた場合には、スッポ抜けて、この住宅は横倒しになる危険性を新築の時から秘めていることになる。

で、今回の笹子トンネルの天井板崩落事故だが。今のケミカル・アンカーの信頼性がどの程度良い方向に進んだのかは知らないが、また使用される接着剤の耐久性がどのくらい進歩したのか知らないが、今から37年前に使われた接着剤ってそんなに信頼性があるのだろうか?約1.2トンの天井床版の両方を吊り下げて、確かに半分づつの垂直加重の負担(計1.2トン)だが、それに揺れが加わると。モーメント応力が働き、接着剤が劣化していれば想定強度に近くなるか、それを超えることになるかもしれない。

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また、致命的なのは、化学反応製品である接着剤が、車の排煙や、不純物を多く含んだ地下水、コンクリートのアルカリ性から越年での中性化、または酸化で接着剤自体が劣化していくことは、当時の製品と技術では無理があったのではないであろうか。また、ケミカル・アンカーの施行の難しさだ。ドリルで穴を空け、中を清掃して、本来理想なのは、内部コンクリートを滑々状態にしてから、接着剤充填とボルト固定なのだが、無数にあるボルトを全て完璧に施行が出来たのだろうか。

↓130mm部分が穴の中で接着される。

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一本が抜けると、その負担過重は、他のボルトに圧し掛かる。それに耐えられず、次々いってしまったということは、他もほとんど強度に余力が無かったということになる。今日の情報では、家宅捜査も入り、調べた結果、12年前にこのアンカーボルトの打音検査をして大丈夫だったなんて調査結果があるそうだが、床面から5mの高さにあるアンカーボルトは簡単に正確には打音検査なぞ出来ない。足場が必要になる。また吊った状態での打音検査で正確に分かることなのか、オイラは理解できない。

中日本高速道路は、かなり危険なことは知っていたのではないかという噂も出回っている。その噂は、トンネルに入る前まで、道路が広くなっていて、トンネルに入ると狭くなり、トンネルの手前で渋滞が起こるようにして、トンネル内はスイスイ車が走れるようにしていたというのだ。つまりトンネル内でなるべく、渋滞状態を起さないようにしていたという噂だ。まぁ、都市伝説の部類かも知れないが。

とにかく、この設計当時、ケミカル・アンカーを過信した設計と、その施行精度を過信した結果になりそうだ。一刻も早い復旧が必要な現在なのだが、改善復旧工事が完璧になるには、数ヶ月掛かるだろう。まず、中央一本で吊っていた設計を、両側の各中央にもう一列の吊りを設け、都合3本(3列)吊りとして、天井床板を支え、また既存のケミカル・アンカーの両側に、新たなケミカル・アンカーを設け、補強するしかないだろう。

で、全国にこれと同類のトンネルが、49箇所あるそうだ。

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ケミカル・アンカーは、やがては化学反応を起して、極度に劣化するものだと覚えておこう。多分50年で以後劣化の道を辿る。

因みに鉄筋コンクリート造も、コンクリートのアルカリ性で中の鉄筋は錆びないが、100年以上経つと、コンクリートのアルカリ性は弱体化して、中性に進み、環境次第では酸性にも進む場合がある。そうなると、中の鉄筋は錆始め、体積が膨張してコンクリートに亀裂を発生させて行く。コンクリートは圧縮力は減退し、鉄筋は引っ張り力が減退していく。だからコンクリート打ちっぱなしの建物はその点に於いて気にかかる。

オイラ、北米の建築思想を学んで、一番感心したことは、施行に接着剤を用いないことを前提としている。なぜか、未だ永久的な接着剤はないからということと、常に取り外しが出来るようにして、取替えが出来るようにしておくことだ。

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コメント

家具を作るっているのですが・・
木工用接着剤は・・
メーカーによって性能がむちゃくちゃです
S社の品はそのうち硬くなり勝手に外れる
(速乾木工接着剤はは取れないのですが普通の品は外れる、少し安い価格で売られている)
K社の品はいつまでも柔らかく取れない
椅子もテーブルも命を守っている品
検査機関のマニュアルが?怪しいと思っています。

投稿: | 2012年12月 8日 (土) 18時26分

まず重量物を吊り下げる構造にする場合、ボルトの引張り方向で支えるようにベースとなる側とを連結すること事体間違いの始まりと思いますね、少なくともベストでないことは工学的にも明白だと思います。

投稿: hw101pct | 2012年12月 9日 (日) 11時19分

たしかにそのように考えます。
このケミカル・アンカー施工のボルトには、
直接重量の大きい引っ張りを受けるのではなく、
このボルトには、せん断力が働くように、
間接材を咬ませ、その材を通して、パネル重量を負担する引っ張りを任せれば良かったのでは。

簡単にいうと、このボルトには下方への引っ張り力を負担させないように設計すべきだったのでは。なんたって接着剤アンカー(ケミカル・アンカー)だからね。永久的信頼性なんてないんだよ。

投稿: 鳶 | 2012年12月 9日 (日) 17時02分

ケミカルアンカーは引っ張り力を受けることを前提に設計されています。
接着アンカーとは言いますが実際には樹脂の圧縮力と周辺摩擦で持たせてるようなものです。
樹脂の強度は、標準的な構造用コンクリートの3倍以上。

ケミカルアンカーにしても機械式アンカーにしてもせんだん力で持たせるのはお勧めできません。
ボルトにせん断を受ける場合、コンクリート表面のボルト側面に応力が集中します。
楔も側方に荷重を受ければ緩む可能性があります。

アンカーを壁面に打つ場合も、基本はナットを締め付け、アンカーの引っ張り力により取り付け部材を壁面に押し付けた摩擦で持って落下に抵抗させます。
これは鋼材を固定するボルトナットがせん断力を考慮しないのと同じ理屈です。
ボルトと取り付け穴の隙間は、当然施工誤差があるので、せん断で見込んだ場合、複数のアンカーに対して均等には荷重がかからないので、非常に危険です。
そのため、締め付けてテンションをかけ、取り付け部材と壁面の摩擦で持たせます。

投稿: | 2012年12月12日 (水) 22時05分

このM16のアンカーは普通鋼の芯材で長期許容応力は2.6tf、健全な状態なら9tf程度持つはずです。
この配置なら、2本や3本死んでも余裕で持つはずです。
実際点検で不良個所が見つかっても平気で持っているでしょう。

可能性があるのは、地震などの影響による地盤の変形によってトンネル構造に歪を生じていた。
これならば自重とは桁違いの応力がかかります。

次にあるのは施工不良。
何らかの理由でその近辺一帯の定着長が短かった。

劣化因子である、熱および紫外線はトンネル内では考えられません。
コンクリート中に施工する以上対アルカリ性は当然付与してあるはずですし、今の国交省の基準には明記されています。
コンクリートの中性化はひどいところでも5mm前後、まあ大目に見積もっても30mmでしょう。
深くなればなるほど中性化の進行は遅いのでまず問題ないレベルです。
それでもやられてるとすれば、天板が落ちるどころではないゆゆしき事態です。
トンネル構造自体の破壊が進んでいるということですからね。

まあ、ケミカルアンカーの劣化はたぶんないでしょう。
半端ない数のケミカルアンカーが使われています。
35年で大きくとってある安全率を超える劣化をするようなら、もうあちこちで問題が出ているはずです。

投稿: | 2012年12月12日 (水) 22時24分

鋼構造物の制作、取り付けを行っているものですが、
ケミカルアンカーは、施工不良がよく起こります
まず、コンクリートドリルで孔をあけますが、その場合
必ず、コンクリート内の鉄筋と干渉します。
その場合、必要な定着長がとれなかったり、斜め打ちしたり
します。又、孔の内部のコンクリート粉をブラシ等で
完全に清掃しないと、接着不良がおこります。手で引っぱても抜けるくらい。又今回のように上打ちですと、樹脂の注入不足なども起きやすいです。
かなり、完璧な施工をしないと、欠陥が出やすいです。
作業員の方も熟練の方から、アルバイト程度の方まで
いろんな方が施工するので、すべての個所が設計どうり
の強度が出ていることは、まずありません。

投稿: yott | 2012年12月13日 (木) 19時06分

ケミカルアンカーは、鉄筋径の30~40倍の埋め込み長さを必要としています。

今回の埋め込み長さは・・・報道の通りです。

接着剤の劣化は勿論ですが、ケミカルアンカーの施工基準も満たしてません。こりゃ、人災ですわ。
こんな仕様で施工をさせた、当時の公団の責任だよ。
おいらみたいな、なんちゃって設計屋でもこんな仕様はしないぜ。

なんで誰も指摘しないの?テレビに出てくる学識経験者の方々の皆さん。

投稿: 設計屋 | 2012年12月21日 (金) 19時34分

  なんで、コンクリート板を使ったの?
  
  ALC板じゃダメだったの?
 
  軽いし、不燃だもんねぇ・・

投稿: アタマとおしりは軽いほうがいい | 2012年12月21日 (金) 19時50分

土木工学やトンネル工学専門のがき指揮経験者の先生方がコメントを発表しておりますが、ピントが外れているんですね。
この問題は機械設計や建築設計の現場で苦労した連中でなければ分かりませんし、第一このような重要な場所に接着剤を最重要ポイントにしているケミカルアンカーを使わせた旧道路公団の工事方法が最大の問題です。
あと付けアンカーの工事は手を抜けますし出来栄えもちょっと見ると綺麗に仕上がりますから。
ボルトの付け方までは分からずに旧道路公団から引継いだ中日本道路は気の毒です。

投稿: 水素屋 | 2012年12月23日 (日) 13時59分

コンクリート打ちっ放しの建物は通常増し打ちが行われます。最低でも20ミリ。安藤忠雄仕様ですと45ミリ程度のようです。鉄筋のかぶりが通常20ミリですから、コンクリート打ちっ放しの場合には最低で40ミリ、安藤仕様で65ミリのかぶり厚が確保されることになります。ですので、中性化による鉄筋の腐食はシャブコン等でないかぎりまず心配する必要はありません。
私はコンクリート打ちっ放しで心配なのは増し打ちによる重量増とかぶり厚が大きくなりすぎることによるコンクリートの剥離ですね。

投稿: | 2013年2月 2日 (土) 19時29分

2月2日の朝日新聞朝刊を見て、笹子トンネル事故は点検ミスや機材の耐用年数の問題ではなく明らかにコンクリート天井に開けた穴に下からケミカルアンカーを差し込んで固定した物に重量物をぶら下げる、と言うケミカルアンカーの誤使用による設計又は施工ミスです、直ちに他の同様工法のトンネル等は通行止めにして然るべき処置をするべきです、そうでなければ近いうちに又落下事故が起きて最悪なら死人が出るでしょう。

投稿: 元零細看板取り付け業者 | 2013年2月 8日 (金) 22時36分

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