防水工事が不完全で雨漏りはしませんか?建築に興味のある人なら自分で出来る防水工事。
前記事で二女の嫁ぎ先の家の改造がやっと終わったと思っていたら、前から懸案だった2階バルコニーの防水工事や他もろもろもやることになり、昨日これも終了した。このバルコニーについては、なんでも先代が頭を痛めていたようだった。25年前の竣工から数年後、大雨になると、階下の応接間の壁にジワジワ漏れてくるようで、高級クロス貼りの壁にだんだんシミが、増えてくる。
施工した建設会社に何度もクレームを入れたが、抜本的修繕はしてくれなかったそうだ(うまく逃げまくっていた)。木造の1階の上に一部2階という設計なのだが。先代が逝去後、最近はますます酷くなってきたらしい。昨年数度あった大雨では、その応接間と食堂を隔てている1間の折り戸の上枠から、雨漏りがポタポタ状態だと聞いていた。
果たしてバルコニーからなのか、100%の確信はなかったが、そうだとすると、多分2つある排水口の一つの周りからだと見当はついたのだが。とにかく修繕をしなければならないなあーとは考えていた。仕上げは小口タイル張り。全部を撤去して再度やり直しとなると大掛かりな工事となる。現状解体撤去⇒防水工事⇒下地モルタル工事⇒タイル工事。費用も多大となる。工事期間も半月はかかるだろう。そこで、現在のタイル仕上げではなく、塗装仕上げを勧めた。その了承が取れたので、施工をしてやった。・・・・
リフォーム工事の考え方は、
1 .現況部分を全て解体して始めからやり直す。
2. 現況をあまりいじらないで修繕を行なう。(廃材をなるべく出さない)
まぁ、これケースバイケースなのだが。
このバルコニーの防水について、保存してあった設計図書を見ると、ロンプルーフというシート防水だった。大昔は信頼出来る防水としてはやはりアスファルト防水だったが、これアスファルトを過熱してドロドロにして数層塗る訳で、手間も掛かるし火を使うことになり、これに変わる防水として、新たな塗り防水、又はシート防水となった。シート防水というのは、出来合いの防水シートを貼り合わせるという、至って施工が簡単な防水。しかし、未熟者が施工をしたり、接着が悪いと雨漏りを起すことが今でも多い。大体接着剤自体が半永久的ではない。特に排水口付近の施工精度が悪いと15年以内に雨漏りが発生なんてことになることもある。雨漏りの原因ヶ所は、なかなか追究が出来ないことが多い。
しかし、今回はやはり、シート防水と排水皿との取りあい部分が、剥がれたか、毀損している可能性、また防水シートの合わせ目の毀損も含まれているのかもしれない。このような時は塗り防水を選択する。塗り防水としては、オイラ大昔はウレタン防水を設計で入れたが、どうも評判が良くない。あとFRP防水などもあるが。
防水工事業者に聞いたら、ナルファルト防水関連が一番施工的にも信頼でるという話だったので、以前塗り防水として、ナルファルトWPという防水塗料を試したが、ほぼ100%完璧だったので、再度使うことにした。
水性エマルジョン塗膜防水材。 より詳しくは、改質アスファルト系常温工法防水 というらしい。 ナルファルトWP防水工法 左官材料を扱っている専門店で購入できます。不織布はメートル切り売りをしてくれます。この会社に問い合わせもして下さい。なお、作業服は塗料で汚れることになり、洗い落としは出来ません。素人の場合、作業服一着おじゃんを覚悟してください。作業手袋をしての作業となります。
この防水下地は何でも良く、今回は、まずタイル仕上げの床と立ち上がりを水で清掃。次にこの材は汚したらほとんど取れないので、しっかり養生テープと養生シートで場外を保護する。これはホームセンターで出来合いのものを購入出来る。シートの巾はいろいろあるので数種使い分けをする。
これ雨漏り犯人推定の排水口。多分以前建築業者が、補修をした痕跡はあるが、効き目がなかったのだろう。
防水塗りが的確になる様、周囲のタイルを撤去して排水皿を露出させました。
購入したこのナルファルトWP10㎡用1缶の、その中に入っているプライマー(この材を30倍に水希釈したもの)を塗る。塗り上げると色が薄茶色となる。プライマー塗りというのは、下地材と本材を密着させるために行なう。これに対してシーラー塗りというのがあるが、これは下地材から何かが染み出すのを防ぐ為に行なう。最近は両方を兼ねた製品もあり、プライマーシーラーとかの混合材もある。まぁ、両方ともいわゆる下地調整塗りと云われている。
養生をしっかりして、プライマー塗りをしたところ。角の白いのは、不織布を引っ掛けてある。排水口回りや立ち上がりから始めます。
この材の硬化を早めるためには、事前に1時間以内で使用する分にセメント5%~10%重量混入して、よく攪拌するのだが(電動に攪拌ツールを付けると効果的)、1時間を過ぎると硬化が始まって塗りずらくなる。今回のバルコニーの床は、間口が2.7m奥行き1.5mで面積とすると約4㎡だ。地上でバケツに適量をひしゃくですくい入れ、セメントをちょっと入れ、攪拌した。それを持って下屋の屋根からバルコニーに通うことになる。この時地上では、水だけを入れたバケツも準備しておいて、攪拌機などの使用後には水に漬けておく。
まず、特に塗りにくい重要ポイントから攻めていく。この場合は排水口付近。この材をゴムコテでまずこすりつけるように塗って、すぐ不織布を事前に寸法切りしてあったのを貼りつけ、ゴムコテで貼りつける。この不織布も事前に準備しておく。今回の場合7m分を購入した。
そしてすぐ、この上からナルファルトWPを再度ゴムコテで塗りつける。同じように床全面は最後まで残し、立ち上がり部分(巾木)と直床、テラス戸の下端などと施工を進める。
一通りやり難い個所を終えて、いよいよ床面に移る。この不織布の巾が約90cm、間口方向として、90cmと60cmの2列に分ける。まず逃げ場所から始めて、この90cm列から攻めて行く。これは数時間で硬化してその頃には、最初の部分は、その上に乗っても大丈夫だからだ。そんなこんなで、4回ほどに分けて地上と2階バルコニーを往復した。これでナルファルトWP防水塗りは完了した。これに約3時間ほど掛かった。
これで全面塗りあげました。下にあるのは、逃げ場用に合板を敷いた。
次の日には、床用塗料(トップコート)を2回塗って終了。これ最終補修も含めて1.6L缶で使い切った。色がつや消しグレーか、つや消しグリーンしかなくて、グリーン色とした。このトップコートとは、単に色付けだけではなく、太陽の紫外線から、防水材の老化・劣化を防ぐ為に施工します。これはローラー塗りで、1回30分もあれば塗れてしまいます。そして木製のスノコをその上に置くことにした。
最後の立ち上がり部分の天端の補修で完了、それ用の養生テープが張ってある。そして必要部分に既成の木製スノコを置いた。
これなら、以前タイル床の場合には、ゴムゾウリでバルコニーだったが、スノコなので、素足で出ることが出来るようになった。まぁ、必要なのは布団干しぐらいだが。これなら半永久的にもう雨漏りはしないだろう。トップコートは5年ぐらいしたら再度塗る必要はあるかもしれないが。
もしどうしても、再度タイル張り仕上げとしたければ、このトップコートはやめて、今度はナルファルトAを1回塗り、その上にモルタルを塗り、タイルを張ることになる。
この外部に露出のバルコニーの下に部屋を設けている設計の建物は、又は、屋上のある建物は、雨漏りの発生が多いらしい、特に木造建物は。このような工事なら、忍耐力のある人ならセミプロいや素人でも施工は可能です。業者の施工費は、かなり高いものとなっていますので。
この施工に関して質問があればコメントで。いろいろ注意事項をアドバイスします。
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コメント
はじめまして!いつもおじゃましています。
我が家は築15年目。自然素材で建てるということでバルコニー・外部、木製です。
西側のバルコニーの痛みが激しくアルミにかえましたが、
いま南側のバルコニー&ウッドデッキで悩んでいます。
このまま手直して使っていくのがいいのか、アルミがいいのかどうなんでしょうか?
投稿: | 2012年5月18日 (金) 19時58分
まず、寿命について自然素材という言葉に惑わされる人が多いようだと思います。
木製ということですが、木製というのは外部の場合毎日強烈な紫外線を浴びます。だから新設の場合はまこと色合いもよく自然素材を使って良かったと思うでしょうが、数年経つと確実に白茶けてみすぼらしい色合いになります。
また、どのような樹種の木製なのか、やがて木部の腐敗が始まります。もちろんそれに強いチーク材などもありますが、まさか値段が高すぎて使い切れないでしょう。
日本の木材ではヒノキまたは杉などがよく使われますが、もっと強いのはヒバなどがありますが、これも値段が高すぎて使いきれません。
それらを解決するのは、着色防腐塗料を数年置きに塗ることで防げます。しっかり養生をして、それから塗るのなら、根性さえあれば貴殿にも無理ではありません。その塗料はホームセンターで売っています。2回~3回薄く塗るのが重要です。
アルミ製は耐久的にはお勧めですが、やはり一般的で安っぽくなりますね。まだバルコニーは健在なようですから、腐ったところは、パテで補修して防腐塗料を自分で塗ることを、お勧めします。
基本的に木製の素地の良さが外部で続くのは、1年ぐらいでしょう。
投稿: オイラ | 2012年5月18日 (金) 20時49分