世界恐慌:スイスの場合・・・・・・・・今ここ
オイラが、紅顔の美少年のころ、学校の先生から、世界で一番いい国は永世中立国のスイスだと聞かされ、それがずーとインプットされたままだった。20代後半に憧れのスイスに行った。ジュネーブのレマン湖、グリンデルワルト、インターラーケン、登山電車でユウングフラウヨッホって云って、アイガーを横目にみながら富士山より高い山頂までトンネルを通じて到達した。さすが空気が薄いので最初フラフラしたのを覚えている。
氷河のトンネル内で、♪遠くに行きたい♪を日本から来た1人旅行の若者が大声で唄っていた。すれ違いにこちらが日本人と分かり、すぐ唄をやめてしまった。帰りはミューレンに寄ってケーブルカーで下りてきた。そこからズーリック(チュリッヒ)に行きスイス旅行を終えた。
そのころ時計や精密機器はスイスの独壇場だった。そして金融も。
そのころは今のようなネットも無かった時代。オイラ、国の成り立ちも人口もGDPも調べようという発想もなかった。結局一時的に歴史的な役割を持ったこともあったが、銀行口座の秘密主義を武器にマネーロンダリング全開で栄えてきた国じゃないかい。元社会党党首土井たか子さん聞いている?
昨年、スイスの最大手銀行UBS(総資産180兆円)が詐欺的CDOのため大損失を出し、クレディースイス銀行(総資産100兆円)も同じように大損失。UBSについては昨年国と中央銀行が不良債権の買取と公的資金投入で6兆5300億円投入したとか。
おいおい!スイスって人口764万人実質GDPは3880億ドル、4兆3666億ドルの日本の9%の規模しかない。UBSの総資産は180兆円で、スイスのGDPの4.6倍の巨額になる。だいたいがスイスの国家予算は6兆円で、国家予算1年分がUBSの不良債権処理に用立てされたことを意味する。
UBSの総資産は180兆円で、スイスのGDPの4.6倍の巨額になる。自国のGDPの4.6倍の資産を持つ企業を政府は救済しなければならなくなった。もちろん180兆円の金融資産のどれほどが不良債権化するかはこれからの話だが。スイス政府の立場はアイスランド政府と同じになってしまう。
スイスはEUに加盟していないし、ECBの枠組みにも入っていない。通貨はスイスフランであり、永世中立国のスイスは外交も経済も独自路線を貫徹している。逆に云えば唯我独尊でいられた。
したがって、今回の金融危機ではきわめて厄介な立場になり、ECBもドイツもフランスもスイスとUBSの救済には動けない。独も仏も英も自国の金融システムを守るのに精一杯で、とても自国の税金でスイスの面倒は見れないという雪隠詰め状態なのだ。
そこに今回のG20での合意事項。タックスへイブン(租税回遊地)撲滅運動の高まりだ。
明るみになる大富豪への脱税指南:日経ビジネス:2009年4月7日(火)
先週閉幕したG20(20カ国・地域)首脳会合(金融サミット)は、脱税の温床とされるタックスヘイブン(租税回避地)の監督強化で合意した。G20と時期を同じくしてOECD(経済協力開発機構)は透明性で問題点のあるタックスヘイブンを新たに公表した。
国際的に合意された税務情報の交換の基準に従っていない、いわゆるブラックリストに掲載された国及び地域にはコスタリカ、フィリピン、マレーシアのラブアン島、ウルグアイの4カ所が掲載された。
また基準に従っているが導入面でまだ課題のある、いわゆるグレーリストに掲載されたタックスヘイブンはリヒテンシュタインやモナコ、オランダなど30、さらにその他の金融センターとしてオーストリアやチリ、シンガポール、スイスなど8カ所が挙げられた。
G20でも問題視されたタックスヘイブンは、前回の記事で紹介したようにタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)の代表、ジョン・クリステンセンによれば11兆5000億ドル(約1100兆円)の個人資産を持つ。
なんといっても、歴史的にもこの横綱はスイスだ。百年以上に渡ってやってきたのだから、半端じゃない。USBにいたっては総資産180兆円。世界中の脱税者、ワケあり者が粛々とこれらに送金をしていた。以前からこんなことは世界の常識だったのだが、「民族自決」の法則・「内政不感症不干渉」の法則で、常識国は手を付けられなかった。
さあここに来て、世界中は博打金融・詐欺金融バブルが弾け、このUSBも世界中から集めたワケ有り金をそれらに運用していたのだが、当然弾けた。そして博打金融参加国のケツにメラメラと火がついた。少しでも消火をするには、膨大な額の脱税にも手を付けよう。オバマ・ブラウン・サルコジ・メルケル・アソウ激しく同意!
数多くの事例の一つ
この事件によってUBSは今年2月18日、米政府に罰金7億8000万ドル(約800億円)を払い、脱税の疑いがある285人の米国人顧客の個人口座情報を提供することに同意した。
今年4月3日時点で285人の個人口座情報を提供したが、このUBS事件がタックスヘイブンに与えた影響は計り知れない。TJNのクリステンセンは「この事件は特異なケースではなく、タックスヘイブンを利用した典型的な不正取引」と言う。
米国の経済誌、フォーブスによれば、彼は世界で522番目に裕福な人物で、フロリダ州とカリフォルニア州に商業用不動産を多く持つビリオネア(大富豪)だ。1942年、有力者とコネクションを多く持つロシアの家庭に生まれたオリニコフは、第2次世界大戦中はイランに逃亡し、15歳で米国に移住した。 その後、南カリフォルニア大学でビジネスを専攻、学位を取った。73年にカリフォルニア州ニューポートビーチに不動産会社を設立した。それが大成功を収め、巨万の富を築いたのである。
そんなオリニコフに近づいたのが、UBSのプライベートバンカーのバーケンフェルドだった。オリニコフは、バーケンフェルドの気品のある話し方に誘惑され、2億ドル(約200億円)をUBSに預けたという。その一部は、リヒテンシュタインの口座に移された。
オリニコフは2004年、突然IRSから「あなたのUBSの口座明細のコピーを見た」と言われ、2億ドルの預金の利息にかかる税金720万ドルの脱税の可能性があると指摘された。そのまま起訴されると、5年の懲役と罰金25万ドルになる。
オリニコフは刑罰を減免してもらう代わりに、知っている情報をすべて自白する司法取引に応じた。すなわち、バーケンフェルドがUBSで行ったタックスヘイブンを利用したプライベートバンキングのからくりについて、オリニコフは知っているすべてのことを捜査当局に提供したのだ。
こんなことが当たり前の世界だったワケで、特にここ十数年、金っころがしの金が利用されていた。日本企業も同じ穴の狢。武田薬品、ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税されているが、いずれもタックスヘイブン絡みの脱税的行為と判断された。
都市伝説では、層化ぐるみ、大作ぐるみ、小泉、竹中とやっかみ半分の噂が駆け巡っている。オイラは分からない。金王朝の金もあっちこっちで正男君が移動で大変らしい。これはさもありなん。マカオのバンコデルタアジアとか有名になったものね。オイラの知人の知人の大金持ちはケイマン派だったと聞いている。
話をスイスに戻すと、
このUBS事件は、米国人の脱税摘発のみならず、スイスの根幹とも言える銀行機密法の終焉にまで発展するのか。クリステンセンは「歴史的な変遷の時期がついに来た。機密法はいずれ過去のものとなるだろう」と自信を見せる。
スイスの産業、特に精密機器は、ほとんど日本なんかに追いつかれ、抜かされ、高額時計の時代でもなくなった。オイラこのごろ腕時計なんてしない。携帯電話で時を計っている。昔のオメガは修理もしないで引き出しの中で止まったまま。還暦で娘たちからの記念品贈呈は、CASIOのソーラー電波時計だった。嬉しかった。
これでスイスは主力だった金融も下降していくのは、火を見るのも明らか。銀行の口座機密法がなくなったら、あんな不便な高所に金を預ける必要がなくなるからね。いやそんなどころではない。スイスは不良債権や借金で国家破綻への道かもしれない。
今回は永世中立国が逆に災いした結果になっていくのかもしれない。どの国も介入できない、助けられない、相手にできない。観光もリゾートも、今や世界中多極化して昔ほど、「♪なんてたってスイスー♪」じゃなくなってきているしー。
観光・リゾート地は、
高所もいいが、
低所もいい!
どちらもいい!
| 固定リンク
コメント
確実に事は進んでいますな。
スイスの黄昏。
スイス金融大手「ユニオン・バンク・オブ・スイスランド」(UBS)は株主総会の席上、09年第一四半期に230億スイスフラン(約2兆円)の資金が流出したと報告した。4月14日、チューリッヒ。
これは秘密口座の情報公開を嫌気した世界の金持ちが資金の撤収を要請し、同行が支払いに応じたため。
同行はスイス政府も株主であり、米政府の強い要請を受け顧客の口座情報を開示したことによる。
秘密預金の殆どが脱税目的資産だ。資金洗浄したカネを秘密勘定が合法化されたスイスのプライベート・バンクに預けていた。
米国がスイスに圧力をかけたのはテロリストの資金源を暴くことだった。ところが飛び出してきたのは5万2000の秘密口座の大半がアメリカ人の脱税によるものだった。
ともかく結果的に、「エクサレント・バンカー」として、嘗て黄金の銀行とも言われたUBSは直近の決算が赤字に転落し、20億スイスフラン(1800億円)。
これは顧客らの預金脱走に加え、サブプライムローンの損失、保有株の下落などで大きな損失がでたことが響いた。
UBSは経営再建のためオズワルド・グルーベル社長をライバルの「クレディ・スイス」から引き抜き、2010年までに7500人の人員を解雇する。09年3月末の従業員数は7万6200人。世界五十ヶ国で支店などビジネスを展開中。
秘密口座情報の公開により米国、とくにフロリダでは脱税裁判が開始されている。ちなみに4月14日にはロベルト・モラン脱税容疑者はフォート・ラウデダール地方裁判所で有罪判決がでた(ヘラルドトリユーン、4月16日)。
スイス秘密口座の神話も終わる。
投稿: 陳胡臭 | 2009年4月16日 (木) 13時36分