世界恐慌:GMは北欧的内部体質だった。・・・・いまここ
米国英国の詐欺的金融の破綻は、どんどん世界に広がって、今度は実体経済にその刃が向かってきている。数ヶ月前に予想されたシナリオ通りだ。
日本も世界的経済の縮小、それに伴う消費の大幅減少の傾向、それは海外輸出の大幅減少につながる。大手の輸出品メーカーのリストラが毎日テレビ新聞で報道されている。対象はやはり派遣社員・契約社員にそのターゲットが向けられる。
正社員は労働基準法によって簡単には首が切れないからね。。
そもそも各製造業会社は、給料・経費の安い中国・アジア各地に生産の拠点を移さざる得なくなり、国内産業の空洞化がほんの十数年前大問題になった。失業問題を解消する意味もあり、労働法の改正で、これらの分野にも派遣社員・契約社員制度が認められてきた。
法的には、なんの落ち度がなくても米国のように直近でもクビに出来る制度で、国内での産業を守って来たとも云える。制度開始のころは、この派遣社員の言葉の響きはそんなに悪い風潮ではなかった。これを題材にしたテレビドラマまで作られたほどだ。
今年発表されただけでも、首切りは自動車関連・家電関連で数万人に達する。来年はもっと増え今度は正社員まで影響するだろう。
オイラの娘も、長女が大学で建築系だったが、建築不況で(1999年)就職活動でこの方面でめぼしい建築・建設系会社は就職困難、結局コンピューター系の会社に就職した。結婚して、転職して某監査法人のSEをしている。結果この方が正解だった。次女の時も就職氷河期で(2002年)アパレル系に就職。今は結婚して主婦だが。三女は反対に求人難の去年就職が決まり、最大手不動産会社と航空会社に内定。今年から航空会社で働いている。皆大学3年の時から就職活動で数十社に挑んでの成果だった。特に三女は今年の1年前だったので時代的に運が良かった。
就職というのは、時代に大きく作用される。運・不運は付き物だ。また良いところに就職をするには、大学で遊んでばかりいないで、優秀な成績を得るため、人格を磨くため無限の努力をしなければ得られないとういのは定説だ。総称して「猫の金玉」という。やはり正社員(激戦の上での採用)と派遣・契約社員(簡単な上での採用)との格差は避けられない。
今日のサンプロで共産党の志位委員長が、ドイツではもっと従業員は保証されていると様々云っていたが。日本の左系賞賛の北欧も含めてあちらの労働組合はギルド制というか産業別に組織されている。企業別ではない。だからある部分自分の働いている企業なんてどうなってもいいから自分達への保証が優先だということになる。すると大卒など初就職者が駆逐され、古くからいる年寄り社員の方が温存されて行く結果になる。
ドイツの失業率は近年でも十数%、最近でも7%。数年前NHKの特集でもやったが、特に大学卒等の初就職先が乏しく、かなりの数が即就職浪人。それこそニート大量生産なのだ。その結果よい製品を作ったとしても、激しい国際競争力には負け続ける宿命を内在している。
前置きが長くなってゴメンナサイ。
この典型が、実は米国にあったのだ。そうだGM等今回問題のビックスリーなのだ。
GM倒産の危機の構造:なぜアメリカの自動車業界は破綻しつつあるのか:2008/12/6
こうした製品構成の問題が、今回のGMなどの経営危機の伏線となります。もうひとつGMは構造的な問題を抱えています。それは労働コストが非常に高いということです。
従来、アメリカ企業は人件費を原材料と同じ変動費と考える傾向があります。したがって景気が悪くなると簡単にレイオフしてしまうのです。しかし、そうした中でGMは経営学者ドラッカーの勧告を受け入れ、労働者を人間として扱う労働政策を取るようになります。具体的には医療補助や年金制度などを積極的に充実させていきます。
なおアメリカの労働組合と日本の労働組合は組織形態が基本的に違います。日本企業では労働組合は企業内組合で、それぞれが独立しています。しかし、アメリカでは産業別組合が普通で、自動車産業の場合、全米自動車労組(UAW)に工場別に所属します。各職場の組合はUAWの支部で、“チャプター”と呼ばれています。労使協議は会社側とUAWで行われ、妥結内容はチャプター毎に投票で信任か否決されます。アメリカでUAWは最強の労働組合なのです。以前ほどではないですが、今でも自動車工場ではストが頻繁に行われています。
その結果、アメリカの自動車会社の労働賃金は極めて高くなっています。ある調査はビッグスリーの1時間当たりの報酬(医療保険や年金、諸手当などのコストを含めたもの)は73・20ドルであると推計しています。トヨタ自動車の場合、その額は48ドルです。他の産業の専門職の場合は47・57ドル、製造業の労働者の場合31・59ドル、全産業で28・48ドルです。
この数時から分かるように、アメリカでは自動車メーカーの賃金は圧倒的に高いのです。これはGMなどが特殊な制度を持っているからです。たとえば医療保険にかかる費用は自動車会社が負担していますが、退職後も家族も含めて医療保険が適用できるシステムになっています。アメリカでは医療費は日本では信じられないくらい高いのです。年金も他産業に比べると手厚くなっています。
もうひとつ自動車業界特有のシステムがあります。自動車メーカーが合理化などによってレイオフした労働者は“ジョブ・バンク(job bank)”という制度が適用され、働いていたときと同じ賃金が保障されるのです。昨年の秋に労使交渉で年金基金の管理がUAWに移されるなど、会社側の負担軽減措置が取られましたが、高コスト構造は基本的に変わっていません。ハーバード大学のマーチン・フェルドシュタイン教授は「今のままだったらアメリカの自動車メーカーはアジアの自動車や欧州の自動車に価格で太刀打ちできない」と言っています。
米国という資本主義・競争主義の権化の国の中で、創立100年の老舗の自動車会社は、北欧・社民主義・大阪市の世界を作っていたのだ。それが100年に一度の津波(金融恐慌)でもろくも崩れそうになっている。まさに「合成の誤謬」を絵に描いたような。
これでは次世代自動車の開発に金は回らない。CEOや役員・重役達も投資会社並みの報酬・待遇を貰ってそれが当たり前と思っていた。過去、欧州の名だたる老舗自動車会社が身売りするのも当然だ、これに順じていた。日本やアジア勢に取って代わられた原因がここにもある。
建築界もそうだが、欧州系は過去の建築が偉大すぎ、また地震もないので建造物の新陳代謝がほとんどない。改装・修繕のみ。古い都市は保存優先で新しい建築思想は受け付けない。技術的にも昔の技法は温存していても、新技術には日本などにどんどん遅れてしまっている。観光としての遺跡めぐりには大変魅力的だが、そこに住んでいる若者達は「もう、こんな陰気でカビくさいところは嫌だ」とよく云っている。
ビックスリーもまさに、欧州思想系経営の行き詰まりを見せたと思う。ここまで来てしまうと「創造的破壊」に向かって行かざるを得ないだろう。 日本の産業界よ、他山の石とせよ。
自動車って、長ーい、長ーい歴史があるんだよね。
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コメント
そうね。GMも世界との競争が無ければ安泰で従業員の楽天は守られたのにね。
投稿: GMGMGM | 2008年12月16日 (火) 11時58分