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2008年5月24日 (土)

石油高騰は、カジノ金融市場から。

大昔「赤いダイヤ」なんていう小説があった。赤いダイヤとはアズキのことで、商品先物相場に関わる、莫大な規模の儲けた・損したが主題の小説だった。聞いた話では今と違って情報の乏しい時代、このアズキ相場に手を出すのは、餡子屋さんとか和菓子屋さんが多かったとか。

現在世界的規模になると今話題の原油先物取引ということになるね。だけどこれっていろいろ情報を集めてくると、まったくクレージーな世界で、本来の実物市場とは違うところで値が上がっているんだね。一説によるとジョージ・ブッシュ大統領の最後っ屁という噂もあながち嘘ではないような気がしてくるのだが。

石油高騰の謎 :2008年5月14日  田中 宇

国際石油価格は、アメリカの代表的な原油であるウェスト・テキサス・インターミディエイト原油(WTI)の石油先物の価格で決まる。WTIの先物は、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)に上場しているが、同じ先物商品は、ロンドンにあるICE(Intercontinental Exchange)という企業が運営するネット上の先物取引市場でも取り引きされており、アメリカのヘッジファンドや投資銀行は最近、ニューヨークのNYMEXだけでなく、ロンドンのICEを通じて、さかんにWTI先物を買い、原油価格を高騰させている。

NYMEXはアメリカの市場なので、そこでの先物取引は、米政府の商品先物取引委員会によって監視され、投機的な行為は取り締まられる。だがロンドンのICEは、外国の民間企業による相対取引の市場なので、米政府の監視の枠外にある。投機で原油をつり上げたい米投機筋(ヘッジファンドや投資銀行)は、ロンドンのICEで先物を売買し、米当局の目を盗んで意図的に原油価格をつり上げ、ぼろ儲けしており、規制が必要だ、というのが2人の上院議員の法案提出の理由である。

なんでも世界全原油取引量の0.5%以下であるウェスト・テキサス・インターミディエイト原油(WTI)の石油先物の価格で決まっていて、その価格が定価になって中東原油・ロシア原油も取引されている。実物経済では、コスト+利益=定価だろうが、一般に原油の採掘コストは1バレル10ドル前後それに輸送コスト+利益でも20ドルでも成り立つらしい。1バレル120ドルとすると、残りの100ドルって一体何なのさ。完全に世界の商品取引は実物市場ではなく、金融カジノ市場になっているんだ。

その理由としては、住宅バブルや株式に行っていた特にヘッジファンド資金が、商品先物特に原油先物取引に集中しているとのこと。このままで行けば1バレル200ドルの悪夢もありえるとのこと。ますます日本のみならず世界中の燃料(GS等)が急速に高値になっていく。現在日本では1L約160円前後。ヨーロッパでは1ユーロ=160円として1L200円を軽く超えているとのことだ。

このことに日本の経済アナリストらは、分析をしても強烈な批判しない。批判をするだけのインテリジェンスがないのかもしれないが。

それに付け加えて

▼国際石油市場は二重価格制?

欧米系の国々や日本、韓国など、アメリカ中心の覇権体制にぶら下がっている先進諸国は、法外に高いWTI価格で石油を買わざるを得ないが、その他の非米・反米の傾向がある国々では、政治的に設定されたもっと安い価格で石油を買える。特に米軍イラク侵攻後は、ロシアのプーチン政権やイランのアハマディネジャド政権、ベネズエラのチャベス政権などが共同し、政治的な石油安値販売の戦略を強化し、サウジや中国も巻き込んで、世界的な非米同盟を構築し、アメリカの覇権体制を壊すことを狙っている。

世界の石油取引のうち、どのくらいの量が非米価格で、どのくらいがWTIで売られているかはわからない。非米価格での石油取引は国家間の相対取引で、統計に全く出てこない。だが、すでに述べたように、世界の石油生産の大半を非米・反米諸国の国有石油会社が持っているのだから、少なくとも世界の石油取引の半分ぐらいは非米価格で売られている可能性がある。以前ベネズエラのチャベス大統領は「WTI価格で売買されている石油量は、世界の取引全量からみればごくわずかだ」と発言していた。

実態としては、原油の産出量および埋蔵量については、どのレポートでもここ10年ぐらいは十分に賄えるといわれている。

そこで出てくるのがいつもの陰謀説なのだが。テキサスを基盤にしているオイル系大統領ジョージブッシュが、自分達の将来の確約やいままでの援護者への返礼として最後っ屁仕込みの結果ではないかという説である。この間にヘッジファンドを中心に大商いで莫大に儲けさせ、オイル企業を儲けさせ、ついでに中東・ロシア側も儲けさせ(?)オイル様様で有終の美を飾ろうということなのか。

ともかくこんなヘッジファンド主動のカジノ金融経済で世界を牛耳っている米国・英国に天罰が降りますように。

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コメント

久々の美味しいビジネスだそうです。
http://blog.goo.ne.jp/world_2050/e/064c498d027b2a76ffed55304825280f

サブプライムローン関連やCDSなど、最近おいしいビジネスに枯渇気味のヘッジファンドにとって、久々のおいしいビジネス。その名も「恐怖のインフレ・スパイラル・ゲーム」。

方法は簡単。まずは、原油価格をあらん限りのリソースで吊り上げる。株式市場が懸念で下がると、市場の混乱を極度に恐れるFRB等が大量の資金が供給される。実質金利がゼロに近く、ほとんどコストのかからないこの資金を使って、再び原油価格をあらん限り吊り上げる。FRBからの資金供給量が半端でないだけに、正常な取引は全てこの流れに飲まれてしまう。このゲームの終結する条件は、以下の3つのいずれか。

(1)個人消費が極端な減少を示し、原油需要の減退が誰の目にも明らかになる。既に米小売り売上高が実質マイナス成長なのをもろともしないところを見ると、かなりの失速が必要。

(2)原油が増産される。今のところ動きはない。

(3)急激な原油価格高騰で、更に悪化するインフレ指標を受け、FRB等がバブル経済の生命維持装置である低金利、大量資金供給策をやめる。この場合、大きな崩壊を甘受することになる。

(1)は米減税策が当面支え、(3)はなかなか受け入れがたい、ということで、ヘッジファンドにとってはめったにない好機。FRBの一連のアクションが市場に与えた教訓は、「中途半端な失敗は誰も救ってくれない。ただ、派手に失敗すればFRBが漏れなく救ってくれる」。

さらに、吊り上げるだけ吊り上げることが出来れば、吊り下げることで2度おいしい。

たんまり稼いでアーリーリタイヤーを考えていたファンドマネージャたちにとっても、再度の機会到来と言う感じか。

投稿: dankai | 2008年5月25日 (日) 09時39分

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